定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険2期)
Benedict Anderson白石 隆白石 さや 書籍工房早山
グループ:Book /ランキング:21069
価格:¥ 2,100
発売日:2007-07 /通常24時間以内に発送
カスタマーレビュー
おすすめ度:
出版業者がナショナリズムを生んだ 
(2008-06-09)
本書によれば、国民・民族(ネーション)とはイメージとして心の中に描かれる「想像の共同体」だ。それは、同じ共同体に属するが、一度も会ったことがない人々と自分との関係を、血縁関係や主従関係などの具体的な人と人とのつながりの網の目として想像する、近代以前の共同体や王国と違い、マスメディアを媒介にして、自分と明確な境界を持つネーション全体とが、無媒介に結びつくものとして想像することが特徴だという。
著者によればこのネーションを生み出した主体は出版業者だったという。出版物がコミュニケーションの場を提供し、言葉を同じくする数十・数百万の限定された人々がそこに所属するという共通認識が生まれたこと。つまり、人間の宿命である言語的多様性と、資本主義と印刷技術の結合(出版資本主義)によって、新たな「想像の共同体」としてのネーションが誕生し、たとえ現実には不平等や搾取があるとしても、ネーションは水平的な深い同胞愛を伴う共同体として、人々の心に思い描かれる。これがナショナリズムだ。そしてその結果、過去2世紀にわたって数千万の人々が、この想像の共同体への同胞愛のために殺しあい、あるいは自ら命を捧げたのだというのだ。
また本版には、英米での本書出版以降、20年以上にわたって多くの国々で翻訳・出版されてきた経緯と、その社会的意味について著者自信が考察する、「旅と交通」と題する新たな章が追加され、本書がナショナリズム研究における教科書的な著作とみなされていることがよくわかった。