わたしは誰でもない―エミリ・ディキンソン詩集
川名 澄 風媒社
グループ:Book /ランキング:261159
価格:¥ 1,470
発売日:2008-05 /通常24時間以内に発送
カスタマーレビュー
おすすめ度:
美しい装丁にすぐれた翻訳詩・・・作り手側の思いが伝わってくる! 
(2008-08-27)
ここ10年ぐらいの間でほんとにひさしぶりに、ふと本屋でたまたま目にして、
買いたいと思わせた詩集だった。
まず「わたしは誰でもない」というタイトルが目に入り、同時に半透明の帯の付いた本の
装丁の美しさに魅かれた。帯の詩句「口に出していうと ことばが死ぬと
ひとはいう・・・」にどこか金子みすずを想起されて興味を覚え、中身をぱらぱらと
めくると、難解な言葉は1つもないのに、短い随想ないし警句的な、謎めいた詩句を
読むことの心地よさがあって、何か作り手側の戦術にうまく乗せられたように、
買ってしまったのでした。
時折挟み込まれた挿画も素晴らしいし、原詩を配置したことの視覚的効果も抜群の
アイデアである。だが、何よりも素晴らしいのは、愛するエミリ・ディキンソンの詩を
もとに、ひとつのすぐれた日本語詩へと転換を試みた川名澄氏の、すぐれた詩的感性と
創造力であろう。
最後に特に印象に残ったディキンソンの詩のうち、皮肉めいた短句をいくつか引用したい。
丸ごと持っていけ 泥棒めが
またとないお宝が
残っているぞ 永遠が
夏のそらがみえる
それが詩である 本なんかにないのである
まことの詩は逃げる
この世にいて 天国を見いださなければ
あの世でも見つからないはずだ
わたしたちがどこへ引越したところで
天使たちは隣の家を借りるからだ
「愛される人びとは死ぬことができない」 
(2008-05-18)
たまたま知り合いから贈られた本ですが、とても気に入ったので、自分で買って親友にプレゼントしました。読み終わって、また読んでみたいな、という気持ちにさせられる、人生の永遠の謎のようにすてきな詩集。清楚な装丁が内容をよく表している。
エミリ・ディキンスンはアメリカを代表する女性詩人で、私は縁があって学生時代から永く親しんできましたが、わが国での知名度は、おなじ19世紀のポーやホイットマンなどに比べて低すぎる気がして残念だった。
今までアメリカ文学の研究者や専攻学生を対象にした翻訳書や文献の紹介が中心で、こうした一般向けのやさしいディキンスン詩集の出版はありそうでなかったことが、ひとつの原因といえるかも知れませんね。日本語の詩として味わえる翻訳でありながら、ごく自然に口ずさめるように韻を踏んでいる、という遊び心が楽しい。
以前からの定番である思潮社海外詩文庫と岩波文庫の2冊の「ディキンスン詩集」に収録されていない詩を、本書で50篇近く読むことができる。さらに、ハーバード大学出版局から刊行されている最新の全詩集によって校訂された英文テクストが、作品番号順に詩の翻訳と見開きのページにレイアウトしてあるのが見やすくて便利。たぶん、高校上級程度の英語力があれば読めるんじゃないかしら。
詩を愛するひとに、おすすめの一冊です。