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人類学的思考の歴史
竹沢 尚一郎
世界思想社

グループ:Book /ランキング:145175
価格:¥ 3,990
発売日:2007-06 /通常3~5週間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
人類学史の思想的反省  (2007-07-22)
欧米における文化(社会)人類学の歴史を、単独で、批判的に再検討するという壮大な試みの本。主なポイントは宗教人類学にしぼられているが、しかし、人類学の考え方の歴史を総体的に理解しようとする著者のねらいはほぼ達成されているといってよい。しかも、本書は世界的な水準で学術的に重要な成果であるだけでなく、ひとつの西洋思想史の読み物としても十分たのしめるから素晴らしい。近代西洋の人間が「我ら」と異なる「彼ら」の「文化」をどのように説明し解釈しながら思索を深化させ、他者理解(誤解)による自己理解(誤解)を行ってきたのか、その思想の流れを興味深く追体験できるのだ。
モルガンとタイラーの進化論人類学から始まり、機能主義、構造主義、象徴人類学と英仏を中心とした学説の展開をまとめた後、アメリカに視点を転じて、文化相対主義やその徹底としてのギアーツ解釈人類学の系譜をおさえ、それからオリエンタリズムその他の文化/人類学批判を再検討してから、最後に世界システム論をふまえた新たな人類学研究の作業を紹介して終わる。恐らく著者の専門に近いからだろうが、モースを核とするフランス社会学年報派の仕事からレヴィ=ストロースの構造主義へとつながっていく思考の系統を解きほぐしていく部分が最も読み応えがあったが、けれど、全体に個人的な好みを抑制したバランスのよい評価がなされており、それぞれの学説に対する批判も目新しくはないが堅実であると思った。
百数十年間にわたるこの学問の思想史を再確認したあと、著者はその豊かな遺産を効率的に引き継いだうえで、さらに優れた民族誌(エスノグラフィ)をものにしよう、と主張する。人間とその文化・社会を総合的に説明・解釈するための過去の技法に多くを学び、欠点も念頭におきながら、しかし最後はとにかく書くことだ、と述べる著者の姿勢は至極まっとうであり、本書のような骨の折れそうな地道な仕事をしめくくる議論として大きくうなずけるところであった。






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