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法と経済学―企業関連法のミクロ経済学的考察
宍戸 善一
常木 淳
有斐閣

グループ:Book /ランキング:258916
価格:¥ 2,520
発売日:2004-04 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
法と経済学の連関を考究した好著  (2005-09-06)

 学問の専門分化が深まると、法と経済という隣接した社会科学の分野間においても「相互乗り入れ」は極めて難しいものがあります。法学者と経済学者が「対話」するにしても、なかなか「共通(共有)する言語」が見当たらないからです。
 本書では、「ゲームの理論」を法と経済に応用し、両者に共通する理想のゴールを「コースの定理」に基づく「パレート効率性(パレート効率的な資源配分)」と措定して、「契約」や「組織」「市場」などを論述しています。具体的には、経済学者の常木教授がボールを投げ、法学者の宍戸教授がそのボールを打ち返す、という叙述構成になっていますので、法学あるいは経済学を専攻する者、どちらの側からも取り組みやすくなっています。

 特に、経済学の場合、二次元的平面的な図表と数式で「市場理論」を徐々に学んでいきます。しかし、現実の市場は、「社会的に明示的あるいは暗黙的に共有されている法・慣習・伝統・道徳といった一般的ルール」(西部忠『市場像の系譜学』第7章)の規制・拘束を少なからず受けており、経済を見る眼としては、法令規則等の“関与”をも想定した三次元的立体的な市場観(及び経済主体としての企業像)を養う必要があると思います。ミクロ経済学で習う「全知全能の経済人」が机上の産物であるのと同様、国家や歴史の積極的消極的干渉を全く受けない「完全無欠の自由競争市場」なるものも、あまりにも観念的に抽象化された概念だからです。

 需要曲線、供給曲線及びそれらの交叉する「場」としての市場は、実態的には法的規整や政府の指示・指導等によって大なり小なり変質・変容していることは事実であり、決して完璧な「黄金のクロス(十字架)」を形作ってはいないと考えます。従って、単純な「市場原理主義(market principle)」に陥らぬためにも、経済と法との連動・連関を考察している本書は必読かと思量する次第です。

読んで字の如く  (2004-09-19)
この世の中には、法と経済の重なる分野が数多く存在し、現実に問題となるのもこの領域である。しかし、実際の学問は、どちらかの学問を狭く深く追求した学者によって議論されるわけで、現実に即した問題解決には鎹が必要となる。
本書は、その鎹のあるべき姿を見せてくれるだろう。

法と経済学へのいざない  (2004-06-10)
本書は、「企業関連法のミクロ経済学的考察」と銘打っており、
法と経済学を学ぶ上での入門書に位置付けられます。

構成は、序論で法と経済学の概略史に触れた後、
第一部「契約」、第二部「組織」、第三部「市場」において、それぞれの興味深い論点を扱った上で、
第四部「効率と公平」(終章)にて、再度法学と経済学に立ち戻り、
効率性と正義・公平概念について言及しています。

各章では、はじめに経済学者(常木氏)がトピックに触れ、
それに対して法学者(宍戸氏)が応答するという形で、
筋立てが明解となっており、また内容もコンパクトにまとまっています。

重要な分析ツールであるゲーム理論については、
本書で度々参照される武藤滋夫『ゲーム理論入門』を
手元に置いておけば問題ないでしょう。
(もちろん、ゲーム理論の素養があればスラスラ読めるはずです。)

本書を足がかりとして、
既に法曹実務や政策実務に携わっている方にとっては、
「法と経済学」の観点を採り入れた業務の実行を可能とし、
法学や経済学を学ぶ学生にとっては、
自らの学問の学際性の一側面を摂取することができると思います。

「法と経済学」についてさらなる学究を試みたい人には、
Cooter&Ulenの「Law and Economics」で基礎を固めるのがオススメです。

本書は、ロースクールや公共政策大学院で開講される「法と経済学」講義に
用いられることを意図しているようですが、
本書を基に、さまざまなケーススタディを扱って頭も体も使うのであれば、
非常に有益な講義になることでしょう。




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