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日本の200年〈上〉―徳川時代から現代まで
Andrew Gordon
森谷 文昭
みすず書房

グループ:Book /ランキング:113632
価格:¥ 2,940
発売日:2006-10 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
庶民生活の変遷から見る視点が良い  (2008-11-02)
 著者はハーヴァード大学歴史学部長で日本の労使関係、労働問題を専門にしているようだ。そのため、権力の変遷もさることながら、一般庶民の生活の変化にも目配りしたところが今までの一般読者向け歴史書と違う。

 日本の過去200年は、徳川幕藩体制から西欧をモデルとした中央集権国家へ大変革し、さらに第二次大戦後は民主主義国家、工業国への転換を行った時期であり、素材としても大変面白い時代。著者は日本に好意的な立場に立ちながら(日本が日清戦争に勝利した後のイギリスの貴族の評で「さまざまな段階の統治を経験するのにイギリスが800年かかったが(中略)日本はをれを40年でこなしてしまった。私には日本にとって不可能なことがあるとは考えられない」を紹介)、西欧列強の真似をしてアジアへの侵略を行った事実をも淡々と描く。

 しかしむしろユニークなのは、女工哀史と言われた工場労働者や、1900年代初頭の、「洋服細民」と呼ばれた都市の給与生活者の実態を描いたところであろう。今までの一般向け歴史書や教科書では、政治権力や政策に関する記述に較べ、あまり日の当たらなかった部分である。

 本書だけで日本の近現代を学べるわけではもちろんないが、新しい歴史書として高校生以上にお勧めしたい。

日本近代史の激動を鮮やかに説明。  (2008-01-30)
原題に表現されるように本書は近代日本の特殊な経験ではなく、グローバルに展開された近代史の日本における展開を描き出そうとする。そのような問題意識によって、日本の近現代史の激動を世界における近代の経験と比較する視座が提供され、日本史特殊論に陥ることなく、日本近代史において何が各国の経験と共通し、何が日本に固有な点なのか、何がその固有な点をもたらしたのかを丁寧に解き明かしていく。

200年という分析スパンの設定が絶妙である。この設定により20世紀の日本を特徴付ける様々な現象のより複合的な歴史的要因を見事に説明している。例えば、20世紀を通じて日本で見られた国家主導型開発政策について、維新後の明治新政府が英国流のレッセフェールではなくドイツ流のフリードリヒ・リストの経済思想をモデルに採用したことに起源を求めている。「新政府による直営事業は、経済発展を支える上で国家が果たす役割の可能性と重要性についての確信を政府の内外に醸成した」という。J.ダワーは戦後日本経済を牽引した護送船団方式をGHQによる改革にその起源を求め、スキャッパニーズモデルを提示しているが、著者はより長い分析スパンを設定したことによって占領改革以前にも戦後日本経済の原型がすでに形成されていたと議論している。

20世紀前半の激動もまたその初期条件としての江戸時代から継続する社会変動の延長線上において説明される。幕藩体制を突き崩した社会変動の力学は明治以降も継続し、政権に対峙する民衆のエネルギーと活発な運動として現れる。教育や憲法など維新後の政府の政策は、国民の統合と政治的発言権の制限という体制側の意図とは裏腹に、国民が教育を体得し憲法を駆使して政治目的を掲げて立ち上がるという予期せぬ結果をもたらすこととなる。江戸期〜大正デモクラシー期を収める上巻のキーワードは、政治エリート主導の国民国家建設・帝国建設が民衆運動の異議申し立てをも促進するようになっていったという逆説である。

方法論について言えば、著者は絵やインタビュー、文学作品や新聞投書欄を駆使して女性や貧農、労働者、被差別部落民など従来歴史叙述の周縁に追いやられがちであった人々の生活の実像を浮かび上がらせていく。民衆を単に被統治者として描くのみならず、時に様々な形で抵抗し自らの未来を切り開こうとする主体として描く著者の姿勢からは、激動の200年を生きた日本の人々に対する著者の愛情を感じさせる。冷静な分析と温かみのある視点の見事に結合した名作であった。


高い値段を出して購入したのに・・・って、後悔してます。  (2008-01-23)
中国、韓国でも 続々、刊行!
と、帯に書いてたとおり、中国、韓国の読者の方々を 意識して 書いてると、思えてしまう部分が、多々!ありました。

その分、日本の歴史を客観的に書いたと言えなくなってて、ハーバードの教授らしいとも言えるのかもしれません。
(・・・彼の教え子には 優秀な中、韓国の学生がたくさんいるでしょうから。。。)
又、殖民支配に苦悩するアジア世界や、その一員としての日本の姿が、まったくなくて、白人国家礼賛とも思えてしまいました。
(余談ですが、彼って ヒラリー・クリントンの支持者?なんだろうな・・なんてことも思えた)

ただ、いろんなことが実話として多々入っていて、面白いとも言えると思います。
彼は朝日新聞を非常に評価してる方と、言えば、実話も 偏ってるのかもしれないのかな?

高いお金を出して購入と言う事を 考えれば、お勧めは出来ません。
と、言う事で 星二つにしました。

ゴードン教授には 中国史、朝鮮史を 彼らによって捏造されてないものを研究してほしいと、願います。
平和なアジア、の為に ぜひ



教科書の補強にはグッド  (2007-06-06)
おおむね江戸・明治・大正・昭和・平成の時期を扱う歴史研究として、世界史レベルの標準に日本史を適用したものとして出色でしょう。
ただし、水戸の思想を維新の機軸として見るなど読み込み不足はありますが(維新当時の権力中枢に水戸の者はいないことでも察しられましょう)、おおむね正確な記述に思います。
ただ、これを読んで、日本の歴史のダイナミックさや、自分の一族の歴史と照らし合わせる、といった、歴史を身近に引き寄せて理解するには不適当だ。過去の200年といえば、ほぼ誰でも一族の歴史をたどることが出来る範囲に有り、維新明治期からとなれば、それはもう、家族の歴史と連動します。その時に、この歴史書は十分な働きをするか? となれば、それはちょっと難しい。
いずれにせよ、高校の歴史教科書の補強には大変便利な書物で、現在から俯瞰した歴史過程が、概略ながら理解しやすいのが利点です。
下巻をまだ読んでいませんが、おそらく同様な質とレベルを保っていることと思います。

とにかく面白い!  (2007-06-04)
日本人なのだから知っていて当然のようで、実はよく知らない日本の歴史。『日本の200年』を読んでいて、何度も「はっ」とさせられた。

この本の歴史叙述が、他の日本近現代史の本と違ってとても新鮮に響くのは、以下の二つの理由からだろう。第一に、日本の歴史を他の国々の歴史的経験と比較・対照することで、その共通点と相違点を浮き彫りにしているという点である。著者は、日本の特殊性だけを強調するような安易な叙述を排除している。第二に、政治に影響を及ぼしうるのは政治家や官僚などの権力者だけだという、「常識」を一気に相対化し、一般民衆の行動(特に、著者が研究対象としている労働運動や女性運動)が政治にどのような影響を及ぼしたのかという視点が盛り込まれている点である。国内政治や外交関係が中心的に扱われていた既存の歴史教科書とは、大きな違いである。

それにしても、この本の内容と比較して、「序文」で紹介されている「新しい教科書をつくる会」の宣言が涙が出るくらい空疎で、非学術的で、幼稚なのがあまりにも悲しすぎると感じたのは私だけなのだろうか?



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