カスタマーレビュー
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欧州の人の心情をよく表しているということ 
(2008-08-05)
欧州の人の心情をよく表しているということで読み始めた本。
イギリス人の話。
面白かったです。恋人をめぐる2人親友の人生の乱高下が心理描写とともに描かれている。他の2人の人生の高下も描かれている。
小説は小説として、市井の人との乖離はどの程度なのだろう。日本の小説の記述と日本の市井の人々との距離感から類推すると、ダイブ違うのだろうなとわかる。ただ、どこが突飛な部分として小説に記されているのかは、まだ理解できていない。
しかし、人はそんなに浮気せんだろ、と思うのだけど。まぁ、小説だからね。
短編だが、登場人物の数が多い 
(2008-06-07)
文庫200ページの短編ながら、登場人物はざっと数えて25名以上。もちろん主要な登場人物は数名ですが、意外と飛ばして読むと、「え?これはどういう人だったかな」とページを戻して、探さなくてはなりません。ややじっくりと読んだ方がいいのかもしれません。「アムステルダム」の題名に引かれて購入しましたが、登場人物やストリーもそんなに真新しく感じませんでした。「アムステルダム」という題名にするほど何か関係があるのかと感じますが、最後でその意味は判明します。ミステリー的な結末です。通勤時に読むのにはちょうどいい読み物かと思います。
<本文から>
クライヴは中央駅まで電車に乗り、そこから柔らかい灰色の午後の光のなかをホテルまで歩いた。橋を渡る途中に思い出したのは、アムステルダムはなんと静かな文明的な街なのだろうということだった。
<本文から>
なんと明るく、秩序のある通り。角には小ぎれいなコーヒーハウスがあるが、おそらくドラッグを売っているのだろう。
「ああ」と、最後にジョージが言った。「オランダ人てのは合理的な法律を作るものだ」
なお、訳者あとがきによると、作者はこれまできわめてショッキングな題材(レイプ・小児愛・人肉食)を冷徹な手法で描くのが特徴であるが、本作はいくぶん趣を異とするとのことですが、本作でもところどころに、そうした題材があるように感じました。
言い訳のその先 
(2008-04-02)
「われわれは互いのことをほとんど知らないのだ」(本文より)
人は、社会を生きるうえで、本当の思いをモラルでコーティングすることを必要とする。
公共の利益のため、芸術のため、政治的健全さのため。
ここに出てくる男たちは、新聞紙編集長、音楽家、外交官などの社会的地位が高い人ばかり。
彼らはそれぞれがそれぞれの倫理に従って行動する。
だがその真ん中にあるものは、ただの嫉妬、死んでいなくなった女をめぐる嫉妬の渦巻きである。
みんな、自分を正当化するのに忙しくて、言い訳に満ちた世界。
だから最後の最後で、いきなり本音が出てきてびっくりする。
ものすごく現代的な物語。
軽いタッチで辛辣なことをさらりというのが、なかなかイギリス的なユーモアだと思う。
えせモラルをぼこぼこにする、そんなビターテイストを味わいたい人に。
真の姿 
(2006-10-13)
本書の本質は題の由来として訳者によって初めて明かされるが、原著にもこの説明は付くのだろうか。「気楽さ」が余裕を生み、自由度の高さとなって持ち味が剥き出しで発揮される。
それは人間的な堕落と孤独の描写に他ならないが、誰も触れようともしない、しかし誰もが内面に孕むであろう「暗部」を、これ程執念深く、鮮やかに描写、人間の苦悩というものを「お笑い」の高みにまで引き上げた著者の手腕と感性には救われる程であり、「愛の続き」であの‘冷徹’さを見せつけた著者のアキバ的な人間性の本質を確信して安心する。
題の都市に対してもそうで、厭世と淀む魂が「合理性」を羨望するのだ。この意味からも題と中身の一致を再考させずにはおかない。
死を理解できずに 
(2006-08-29)
この作品の主題は死だが、その扱い方はいかにもぎこちない。しかし、それは許すべきだろう。著者は当時50歳前後で、死を美化するには老い過ぎ、死の醜悪さを描ききるには若すぎた。本作からは、著者の死を理解を求めての苦悩が感じられる。この作品には弱点が多いが、この苦悩は紛れもなく真実のものであり、結果として作品に力を与えている。