カスタマーレビュー
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広く浅く災害後メンタルヘルス研究の方法論を学べる本 
(2006-12-20)
災害後の心理的・精神医学的反応について、いままで論文で読んできた「研究の方法論」が統合された本、と言うのが読後の第一印象です。研究結果のレビューと方法論の長所短所についてが半々で書かれている。そういうわけで、いままでたくさんこの分野の論文を読んできた人にとっては“復習”している感覚。特に新しいことは学ばないと思いますが、系統立てて整理されているので、「今まで読んできた内容を総合すると、こんなことが言えます」という視点で理解がしやすい。
今後、大規模災害後にどのような研究計画を立てればいいのか、どのような情報が必要とされているのか、ということを考えるには大切な1冊ですが、それほど具体的なハウツーは書かれていません。
この本の一番のハイライトと思われる箇所は、Chapter2 Psychosocial Consequences of Disaster で、2002年に発表した同著者のレビュー論文をさらに改訂したものですが、大変参考になります。それ以外の章は、研究・臨床・行政のどの視点から読むかでそれぞれ重要性が異なると思われます。
この本の著者たちは、災害後のメンタルヘルス研究に関しては第一人者といわれる人たちで、学会での講演も聞いたことがありますが、とてもいい仕事をされている方ばかりで、個人的には大変尊敬しております。
初学者がアメリカの災害後のメンタルヘルス研究について学ぶのには適していますが、この分野の論文をある程度読み込んでいる人には「それはもう知っていましたけど、それで?」と思ってしまうかもしれない。でも、なにをプロジェクトの主題に持ってくるべきなのか、どんなことに気をつけて研究をしなくてはいけないのか、など、研究の視点がクリアーに整理されているので私は参考になりました。