The Translator: A Tribeman's Memoir of Darfur
Mirron Willis Random House (a)
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価格:¥ 3,981
発売日:2008-03-18 /通常10~14日以内に発送
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ダルフールの心の叫び 
(2008-07-12)
Darは「土地」 furは「フール人(族)」を意味する。チャドとの国境に沿ったスーダン西部の地域で面積は493,180平方キロ、スーダン全土の2割近くを占める。1956年の独立以来、政権は少数派であるアラブ人の手にあったが定住するアフリカ人諸部族と遊牧アラブ人は対立しつつも共存を続けていた。しかし近年、両派の対立は先鋭化し、バシール将軍の軍事政権の支援を受けるアラブ民兵軍がアフリカ人の村落を攻撃し続け、多くの難民を隣国チャドへ送り込んでいる。このような攻撃の激化の背景には南部に大量の埋蔵石油が発見されたことがあった。ダルフールの様相は民族の大量虐殺(ジェノサイド)と見られるが、現状では250万人を越える大量の難民の発生がNGOや国際機関の救援活動をクロースアップさせるに至っている。
ここに略記したようなダルフールをめぐる政情は本書で著者が正面から取り上げているものではない。題名の示すように著者はダルフールの一部族(ザガワ)に属し、ザガワ語、アラビア語、英語の知識によってそこを訪れる欧米人記者の通訳となった。彼はその仕事によってスーダン政府のお尋ね者となり、拘留され、拷問され、民兵の気まぐれひとつであの世へ旅立つ運命の淵に幾度となく立たされた。彼はまたその命知らずの行動の過程で幾多の惨状を目撃する。惨劇は女子供を容赦しないどころか、女子供こそが狂った兵士たちの目ざす獲物であった。惨状は同行した剛毅な西洋人記者を嘔吐させ、涙にくれさせた。読者は人間が人間でなくなるのはなぜだろうかと後々まで考えないではいられないだろう。
本書が描くのはこのようにして多くは人類の愚行である。しかしたとえそこがアフリカの一角に過ぎないとしても読者は、砂漠とはどういうものか、砂漠を旅するとはどういうことか、部族や家族を結ぶ絆はどのようなものか、さらにはまたラクダやロバなどの興味深い生態について教えられる。著者の働きは一介の通訳としての働きではなかった。その献身が結局は彼の命を救い、やがてこのような書物となってわれわれに届けられる結果を生んだ。本書に登場する英米の記者はいずれも名の知られた人たちである。もし著者の言うところに意図した誤りや偽りがあったとすればこれらの同行者たちが黙ってはいないはずである。