カスタマーレビュー
おすすめ度:
大した小説じゃない 
(2008-07-19)
あまり賛成しないだろうが大した小説じゃない。ボウルズは偉大な存在だし、バロウズも鬼才というに足るが、ケルアックはかなり落ちる。この人の人生やこの本で描かれている人生は面白いといえなくもないかもしれないが(似たような友達どうしで自分に似ていない人間を愚痴りながら、アメリカ国内をうろうろしているだけだけど)、小説としてはぐずぐず、だらだらしてて切れ味がない。延々と同じような内容が繰り返し続くだけ。文章もとても詩的とはいえず、どこも異端とも革命的とも言えないし、拍子抜け。
作者の人生や作品で描かれている人生の面白さを、小説の出来と混同するのはやめましょう。
老子 20世紀北米篇 
(2007-05-16)
60年代に若者達の知的関心の中心は完全に変わった。それまで「小説」の占めていた位置に、ディランとビートルズ以降、ポップ音楽が居座りそのまま現在に至っている。この作品がまさにその一大変化の分水嶺にあたる。実際、これほど60年代以降の偉大なミュージシャン達に大きな影響を与えた小説も無い。私が知っているだけでも、ディラン、レノン、ジム・モリソン、ジャニス・ジョプリン、ボウイは、この作品に魅惑され、決定的な影響を受けている。そして70年代以降の文学等全ての文化は、未だにこれらの音楽家の影響下にある。
これほど読者の世界観を力強く変える作品も稀だ。ただ惜しいことに訳文が古臭い。佐藤良明氏がある本の中で抄訳していたが、実に上手かった。全訳してくれないものだろうか。
魅力はあるが面白くは無い。 
(2007-03-19)
結構厚く感じる本なのですが、終始あわただしくいったりきたりしているだけで、その路上でどんなことがあった、つまり路上において「とどまっている人たち」については、驚くほど薄い印象しかない。
観光でも何でも「旅」は「冒険」ですから、たとえ短時間で通り抜けてゆくにしても、いった先の風景や事情、その土地と自分がどう向きあったか等々がとても重要な要素だと思うのです。淡々と心象風景がつづられて、身勝手をやったり身勝手をされたり、移動しました・・・、では私にとってはつまらなかった。紀行文ではないという当たり前なことを自覚せざるを得ないのか。
ロードムービーは好きだけど、この本にはのめりこめなかった。
部屋に飾っておくと「カッコイイ」本ではあるけど。
語るべき言葉を選べない本。 
(2006-07-22)
大抵の偉大な作品について語る時に当てはまるのだが、本当にクオリティーと斬新さが上手く結びついた作品について何かを書こうとするのは無駄だ。
そういう時は、とりあえず読んでみるといいと言うしかなくなる。
この小説もその手の類の本である。
アメリカの本屋に行けば大抵どこでも手に入ると思うので、ニューヨーク発、コロラド経由サンフランシスコ行きの旅行計画を練っている人、(つまりI80かAMTRAKで大陸横断する人)もしくはまさにその旅程を旅している最中の人には是非読んでほしい。
私は大陸横断を鉄道で終えた後、CITY LIGHTS BOOKSTOREでこの本を購入し、東海岸に戻る途中に読んだ。
そういう状況が似合う本だった。
旅のお供に是非。
"IT"を求める旅 
(2004-11-03)
~第三部の第四章、サンフランシスコの酒場で狂熱ともいうべきジャズのライブ演奏を友人たちときいたあと、第五章の冒頭で、この小説のヒーロー、ディーンはサル(私)にこう言う、”Now, man, that alto man last night had~~ IT.”
この小説のテーマがはきっきり示された瞬間である。
“IT”とは何か。それは第四部のなかであきらかになります。第四部の第三章の中程でディーンはこの小説のクライマックスであるメキシコへの旅についてこう語る。”Man, this will finally take us to~~ IT!”
自動車旅行とジャズのライブシーンにあふれたこの小説の白眉は、第四部の後半、国境をこえたメキシコの売春宿で乱痴気騒ぎをしたあと一路メキシコシティーへと向かう旅路にあります。そこで彼らが何を見、何を感じたか・・・、そして”IT”とは何だったのか。すべてがあきらかになります。
第一部の東から西へのヒッチハイク旅行(ディーンは何故~~かあまり登場しない)、第二部のニューオリンズにオールド・ブル・リー(「裸のランチ」のウィリアム・バロウズがモデル)を訪ねるアメリカ南部への旅、第三部のサンフランシスコからニューヨークへの今度は西から東への旅・・・、それらの旅の描写は非常に素晴らしいものがありますが、第四部のメキシコへの旅の序章、それも壮大な序章だったのいうのがよく~~わかります。
そして最終章である第五部、ほんとうに短い第五部ですが、アメリカ文学史上に燦然と輝く散文としての到達点をここに見ることができます。特に最後のパラグラフは英文として私がこれ以上の見事な文章はない、とおもっている一文です。ゆっくりと味わってください。~