カスタマーレビュー
おすすめ度:
最後まで読んでよかった 
(2007-01-31)
少女の目を通して語られる様々な出来事。
死と向き合う中から見えてくる生。
それは時に粗野で哀しみを湛えているけれど、確かなエネルギーを持っている。
読後に感じる煌きは、希望と言い換えていいのではないか。
煌く言葉、生きることの輝き 
(2007-01-22)
1934年、大恐慌の真っ只中を生きた14歳の少女の日記。日記というが、訳されたそれはまるで散文詩集のよう。だから読み進むほどに断片になって散らばる印象が、どくどくと沸き上がって来る。断片すぎてそれらは、すぐどれと繋がるのか迷うことさえある。複雑なジグソー・パズルのように一見見える。が、それが幾つか繋がった時、強烈な光が放たれる。
「あたしたちの将来はカラカラに乾いて/土埃といっしょにどこかに飛んで行ってしまったことを知る」(P55)「うすやわらかな花びらが太陽の中で焦げてゆくのを/あたしは見ていられなかった」(P110)
「そして今/その悲しみは/階段をのぼりつめて、すぐそこまで近づいてきた。/テキサスぐらい大きくなって/まっすぐこっちに向かってきていたというのに/あたしたちはそれが目に入らなかったというのか」(P113)
「いっしょに/ならんで/土埃の中をぱふぱふ歩いてゆくにつれ/あたしは/あとのことぜんぶについて/自分自身をゆるしている。」(P269)
「今までずっと/この土埃から抜け出そうと必死だった。/でも現実は/土埃もあたしの一部だった。/土埃があるからあたしがいる。/そして、こんなありのままのあたしはとてもいい。/自分で見てもいいなと思える。」(P290)
そうして散りばめられた言葉たちは、まるで彼女の命の煌きのように、こちらの胸を目を射るほどにきらきらと輝いている。
希望が砂に埋もれても 
(2003-11-09)
14歳の少女ビリー・ジョーの日記のような詩、詩のような小説。
毎日のように吹きつける砂嵐の中で、農作物は枯れ、友人は去り、
家もトラックも大切なピアノも、簡単に砂まみれになってしまう。
亡くなった母親の亡霊、悲しみと皮膚癌に蝕まれた無口な父親、そして
砂の中から逃げ出したくて、ビリーは西へ向かう列車に飛び乗った・・・
詩なのでページ数の割に文字数は少ないです。
難易度は1200~1700語、ペンギンブックスで言うと
レベル2~3程度だと思います。
ビリージョー 
(2002-07-18)
波乱万丈。まさにそんな感じの話だった。人は悩み、苦しみ、時に立ち止まり前へ進めなくなる。けど、人は「人」「出会い」「時間」を通じて前進していく。「人間ってやっぱ、いいなぁ~。」と思わせてくれる本でした。
思い出の1冊 
(2001-10-03)
1998年に2度目の文部省在外研究員として、生まれ故郷でもある California の Santa Barbara で暮らしていた時、小6の息子の小学校の Teacher-Parent Meeting に行った帰り、体育館でその時開かれていた Book Sale で見つけた思い出の本です。その年の Newbery Medal Book でした。買って帰ってすぐ私が読んで泣き、続いて息子が読んで泣き、それを見た妻が読んで泣いたという感動の一冊です。そうそう、最近では私の同僚のニュージーランド人が、私の研究室に置いてあったペーパーバック版を読みながらぼろぼろ涙をこぼしていましたっけ。
職業柄 Newbery Medal, Honor Books はここ数十年分はほとんどすべて目を通しているつもりですが、こいつは名作中の名作だと思います。一言で言えばスタインベックの「怒りの葡萄」の世界を一人の女の子の視点で詩の形で書き上げた物語なのですが、過酷な経験を通過しながら、最後には父を、世界を、そして自分自身の運命を許し受け止めていく Billie Jo の姿は涙なしには読めません。耳をすませばページのすきまからDust Bowlの砂嵐の寂寞とした音が聞こえてきます。