カスタマーレビュー
おすすめ度:
面白いのは面白いけど...。 
(2008-02-27)
本書はクリスティー作品中でもとくに人気の高い、「一般受け」す
る作品だが、私はクリスティー作品としてはあまり高く評価してい
ない。少なくともベスト10に入る作品とは思わない。
ミステリー・ファンには大別して2種類あり、一つは謎を読み解くた
めに途中で何度も立ち止まって考えながら読み、見事に謎を解き
明かすことに、あるいはその反対に、見事に作者にだまされること
に快感を覚える、いわゆる「本格」推理ファンである。
もう一方のファンは、流れにまかせてとにかくストーリーを楽しむ人
たちで、多くは例えば宮部みゆきや東野圭吾、あるいは西村京太
郎やもっというなら赤川次郎など、2時間ドラマ向きの作品が好み
のように思う。
ところで本書だが、積雪により外界から閉ざされた列車の中で起
きる殺人で、死体には大小12ヶ所もの刺し傷があり、そこへ名探
偵ポアロが登場、容疑者たちも様々な国籍・職業の者たちが揃い、
被害者の過去には未解決の誘拐殺人事件が見え隠れするという、
いかにも一見すると前者に属する作品のように見える。ところが実
は本書には謎解きの要素は少ない。
ポアロは容疑者たち一人ひとりが、誰もが殺人の動機を持つこと
を暴き立てるが、それは推理というよりもほとんど「勘」によるもの
で、読者は立ち止まって考える余地がなく、せいぜい、前のペー
ジに「ああ、こういうことが書かれていたんだな」と確認するぐらい
で、後は2時間ドラマのように結末まで流れにまかせるよりない
のである。
だからこの作品は、確かにストーリーは面白いし、結末の意外性
も楽しめはするが、謎解きを楽しみたい、いわゆる本格推理作品
のファンからすると、ちょっと物足りないものがある。
しかし逆に言うと、ガチガチの本格派の作品は敬遠するが、気軽
にストーリーを楽しみたい2時間ドラマ派やミステリー初心者には
充分楽しめる作品だと思う。
ちょっと期待はずれ 
(2008-01-25)
意外な犯人で有名な作品ですが、あまりに有名すぎてもはや意外ではなくなった感じがします。
殺人、捜査(尋問)、解決というオーソドックスな3部構成になっていて、現在のスリラーに慣れた眼からすると、テンポがゆっくり過ぎると感じる方も多いと思います。
また肝心の推理も、緻密に論理が組み立てられるというよりも、「実はあなたは○○でしょ」という感じの当てずっぽうな予測がたまたま当たってたという印象のほうが強く残りました。
もちろん、このような部分は表層的なものと考える人も多いと思いますが、論理性を追求する人や、スリリングなシーンの連続を期待する人にはあまり向いていないと思います。
あと、原書で読もうという方は、フランス語が多用されているのでお気をつけ下さい。分からなくても筋を理解する上で支障は無いはずですが、気になる方は講談社から出ているルビーブックスならフランス語に日本語訳のルビが振ってあるので、そちらをお勧めします。
アガサクリスティーの世界に浸ってください 
(2007-12-15)
ポアレシリーズは沢山読みましたが、この作品はシリーズ1冊目ということで読んでみました。その結果は・・彼女らしい素晴らしい作品でした。最近の推理小説は、過激な描写が多いため気持ちが暗くなる事が多い。それに比べ彼女の作品は全て、古き良きイギリスの美しい舞台と、女性らしい上品さ、心理描写の細やかさ、ユーモアが魅力です。この作品もそんな彼女の世界を期待通りに描いており、特に、最後の最後の単語を読み終わった時に、ほっとした余韻を味わえました。どうぞこの作品で、彼女の世界に浸ってください。 また読まれる Tino Georgiou--The Fates
鮮やかな推理を楽しもう 
(2007-03-28)
アガサ・クリスティーの作品の中でも有名な本作品は、ポワロの名推理の冴えを楽しむのに最高の一品である。もっとも、本格推理物として考えると本作は弱い。基本的に読者が一義的に謎をとくことは不可能であり、ポワロの推理も、かなり無理のある部分が多い。しかしその点は本作にとってはそれほど重要でない。それそれの登場人物が抱えている謎、そして事件そのものの謎を、ポワロが解決していくさまが鮮やかに描かれていて、その鮮やかさたるや、まさしく胸のすくような快感がある。例えるなら、これはよくできた時代劇の殺陣である。実際の真剣勝負とは似ても似つかぬ殺陣ではあるが、主人公の剣士の少なくとも見かけは見事な剣裁きには見とれてしまう。この作品を読んでも、ポワロの推理の強引さに少し突っ込みたくなることもあるが、そんな疑念は、推理が見事に当たったときの描写の楽しさの前には吹き飛んでしまうのである。まさしく作者の講談師的な語りのうまさを見せ付けてくれる作品であろう。
良作 
(2007-02-25)
この作品の名前は、一般の方にも知られている有名な作品です。
そのため、私も興味を引かれてこの作品を読みました。
もちろん、クリスティー文庫のファンですからね。
作られたのは、かなり昔の作品ですが、それでも殺人の舞台は非常に良い。
近代的な物は登場せず、ただ頭のみを使うポアロが非常に素晴らしいです。
犯行のトリックなどは、他の作品と同じ、最後に語られますが、やはり終わり方は中途半端なようで、完結してるのが、個人的に「・・・」みたいな感じでした。
最も、クリスティー作品はどれも同じような終わり方ですけど・・・。
残念なことに、この作品はあまりにも知られているので、事件の真相を知っている方が多いと思います。
私も、この作品は有名なだけに、事件の真相を知っていました。
そのため、ちょっと期待が持てなかったのが、マイナスでした。
発売当時読めなかったのが、苦痛ですね。
さて、一般の方にも受け入れる作品か?
と、言われたら、文句なしだと思います。
オススメとしては、ミステリー初心者の方に是非読んで欲しいですね。
あるいわ、最近ミステリーに興味を持たれた方。
そのほうが、無駄に疑問をぶつけないで、スラスラ読めると思います。
私なんて、今まで数多くのミステリーを読んできたので、ほとんど疑いの目で読んでました。そのため、ちょっと面白さ激減したのが・・・まあ、問題だったかなと・・
クリスティー作品を始めて読む方も、「そして誰もいなくなった」かこの「オリエント急行の殺人」を手にとって見ると、いいでしょう。
評価としては、最高点ですが、内容を知っている方にとっては、星3個ぐらいですかね・・・