The Persian Boy
Mary Renault Vintage Books
グループ:Book /ランキング:13233
価格:¥ 1,667
発売日:1988-02 /通常10~12日以内に発送
カスタマーレビュー
おすすめ度:
ちょっと少女漫画みたいですが 
(2004-03-20)
最近『Gates of Fire』(by Steven Pressfield)というテルモピュレイの戦いを描いたアメリカ産の歴史小説を読んだ。戦闘場面は泣けるが、そこに辿り着くまで催眠作用を発揮するアンバランスな小説だったが、本国で長期ベストセラーになっている。そのあとがきに「誰よりもメリー・ルノーに感謝する」という言葉を見つけて懐かしくなった。ルノー作品は学生時代によく読んでいた。
本書はアレクサンダー三部作の中間の小説。ルノー作品の中で間違いなく一番有名で最も読まれている。
ミソとなるのは、「心身ともに『スーパーマン』として描かれるアレクサンダー像にウットリ出来るか?」という辺りか。なんとも燦然たる人間像だ。アレクサンダーの行動は全て正しい。これは語り部がバゴアスだからある程度仕方ないのだが。一方バゴアスはバゴアスで心の清い絶世の美少年だったりするから、恋愛物として見るならばかなり直球。ちなみにへファイスティオンも随分良い男として描かれている。読んでいて作者が入れ込んでいるキャラがすぐに分かる。
つまり対象に対する作者の距離感がかなり女性的なのだ。アイロニーが一切ない。よってこういうロマンス世界にすんなりと入れる方には心地良い世界だろう。私は個人的にマルグリット・ユルスナール(『ハドリアヌス帝の回想』)のようにもっと男性的な「目玉」が提示された方が安心して読めるしエロスも感じるタイプなので、正直、好みの小説ではない。蛇足だが、ルノーもユルスナールもレズビアンだが、「レズビアン作家と歴史小説志向」って何か因果関係があるのかな。
しかし好みを超越して素晴らしい小説なのは確か。雰囲気作りや細部の書き込みが緻密で堂に入っており、読者を別世界に連れて行ってくれる濃厚な世界が広がっている。このように世界観の提示が揺るぎないからこそ直球のロマンス話も安く落とさずに支えきった。
歴史小説の最高峰 
(2003-07-06)
物語は、歴史上実在した、ペルシャ人の少年バゴアスの波乱に富んだ少年時代から始まり、ペルシャ王ダリヨスの王宮での生活、ダリヨスの失墜、そしてアレキサンダー大王の出現と、大きく展開していく。
アレキサンダー大王ほど、死後、品性・人格を後世の人々によって裁かれた人物は少ないだろうと思う。彼の功績自体、歴史的に比類のないものだったことに加え、そのカリスマにおいても、歴史上、後にも先にも彼に優る王がなかったからかもしれない。結果、歴史を通じて無数の作家の題材となり、賛否両論、両サイドで熱した議論のまとになっている人物だ。
彼の愛人のバゴアスの目を通して、一人称形式で大王の人物を語ったのは、アレキサンダー大王に非常な敬意を抱いている著者としては、実に自然なこ㡊??だったに違いない。この本の大王は、ほとんど聖人にさえ近い、気高い人物として描かれている。
そういった贔屓目のバイアスが入っているにもかかわらず、歴史的事実には非常に忠実である、というところに彼女の歴史小説家としての見事な手腕がうかがえる。
登場人物のひとりひとりが、マイナーな脇役に至るまで、すばらしく生き生きと描かれ、読んでいて、まるで実際にそこにいて見ているように、物語を自分の中に感じることのできる、すばらしい本である。また、アレキサンダー大王自身の人生そのものが、倦むことがなかったせいもあって、物語の進むペースは速く、読み出したら止められない。何度読んでも飽きない新鮮さであふれている。
アレキサンダーの品性に関して、バランスを取りたい方は、アレキサンダーをメガロマニアックな暴君としてとらえた、ピーター・グリーンや、慎重な中間的立場を取っている、ロビン・レーン・フォックスなどを読むことをお勧め。
very recommendable book 
(2001-08-19)
アレクサンドロス大王とペルシア帝国の美少年バゴーアースとの恋愛小説。史実を題材にしたフィクション以上の名作です。