カスタマーレビュー
おすすめ度:
お勧め、ただし測度論は先に勉強しておきましょう。 
(2007-01-07)
Carnegie Mellonの数理ファイナンス修士コースの講義ノートがもとですが、
講義では、実際にはもちろんこれ全部(上、下)はカバーしてません。
念のため。
良書であることは間違いないのですが、「測度論をちゃんと勉強した人に
とって」という留保条件をつけたい。学んだことが無い人にとって、
この本は難しすぎるし、この本で測度論を学んだ気になるのは危険だ
からです。(ブラウン運動しか興味がないのならいいですが。)
測度論・確率過程の説明(1〜4章)は、あくまでも(とても良くかかれた)
サバイバル・キットであるということには留意が必要です。
5章、6章、9章はおすすめ。これらのテーマにつき最も良く
書かれた本でしょう。7章、8章は、今のファイナンスの中では
入門的教科書のトピックとして、有っても無くてもよいテーマに
なりつつあります。10章、11章はそれぞれが一冊の本になるよう
なテーマですが、よくまとまっています。
どの章も、平易にかつ丁寧によく書かれているのでお勧めです。
ファイナンスの新たなスタンダートテキスト 
(2006-12-02)
非常にすばらしい本。
シュレーブがクオンツコースの一年目向けの授業に書いた講義ノートを本にしたもの。
確率論(測度論)、確率過程論を直感的に導入し、
それでなお、ある程度のrigitさを保つと言うところがすばらしい。
確率論から書き起こしているにもかかわらず、
具体的にどう計算するか、
具体的にはどういうことなのか、
と言うことをちゃんと確認することが主眼で、
非常にそこらへんが詳しい。
なおかつ、finance-oriented な確率論なので、
ストーリが常にファイナンスで、イメージを追いやすいし、わかりやすい。
Hullは、知識になるものの実用にはなかなかギャップがあるけれども、
この本はそこからさらに数歩進めた。
また、chapter 5 の Risk-neutral Pricing が秀逸で、
ブラック・ショールズモデルが、金融経済学に開く拡張された視点から
書かれていて非常に分かりやすいし、広がりがある。
つまり、単なるデリバティブのプライシングではなく、
金融経済学としてのコンセプトがここで説明される。
厳密で読むのに骨が折れる、Method of Mathematical Finance を
分かりやすく噛み砕いている章がここ。
今後、この教科書が世界的なファイナンスのテキストになっていくだろうと思われます。
ただ、一点難を言えば、
伊藤の公式を "Ito-Doeblin Formula" と書いたところ。
Doeblin と言うフランス人が同じ時期に公式を導いていたからと言うのが理由だと、
わざわざ最後のNoteで「言い訳」しているものの、
なんとなく、これはしっくりこない。
この教科書が今後世界的スタンダードになるであろうだけに
この表記の生むインパクトの強さが懸念されます。