Amsterdam
Ian McEwan Anchor Books
グループ:Book /ランキング:28783
価格:¥ 1,748
発売日:1999-11-02 /通常24時間以内に発送
レビュー(Amazon.co.jp)
プレイガールでならしたモリー・レインが、謎の退行性の病気がもとで40代にして亡くなり、集まった多くの友人や恋人たちは自分もやがて死ぬ運命であることを自覚する。高級紙「ジャッジ」の編集長ヴァーノン・ハリデイは、有名にして放埓(ほうらつ)な作曲家クライヴ・リンリーを説得し、安楽死協定を結ぶ。万が一彼ら2人のうちどちらかがモリーのような病にかかったときには、もう1人が死なせてやる約束である。この先、読者は『Amsterdam』(邦題『アムステルダム』)の結末はどうなるか―― 要するに誰が誰を殺すかという問題―― を考えながら読み進むことになる。
やがてモリーの恋人のなかでも最も有名な男、外務大臣ジュリアン・ガーモニーのスキャンダラスな写真が新聞社の手に渡り、さまざまな憶測のなかでガーモニーには罷免の危機が迫る。しかしこの後がマキューアンらしいところで、どちらかといえば不愉快な印象を与えるキャラクターのガーモニーが勝利を収める展開も不思議ではない。
イアン・マキューアンは卓越した小説の技巧の持ち主で、この作品は賞を総なめにしてもおかしくない。しかも、登場人物は次から次へとめぐらされる策略のなかで、妙に無機的な雰囲気を漂わせ続ける。
カスタマーレビュー
おすすめ度:
さてさて、 
(2005-11-12)
マキューアンの作品なのだが、どうも初期の作品と比べたなら魅力がおちるような気がしてならない。死んだ女に対して三人の男ががやがやする小説なのだが、うーんどうだろう。訳者が未熟なのだろうか、首を捻りたくなるような日本語がたた出てきて、どうだろうと思うし、うーん、やっぱりセメントガーデンや最初の恋、などのほうが好みです
大人の渋さ 
(2005-04-15)
原文が巧いのか、訳者が巧いのか、とにかく日本語がすっと馴染んでいる上に洗練された文体で大変読みやすい。
地位と名誉を手に入れた男たちの、更なる栄光への道はちょっとしたさじ加減で一気に転落の一途を辿る。
そのリアルで繊細な心理描写はほぼこの小説のすべてを占めていて、筆者の独り善がりにならずかなり読者を楽しませてくれる上に、
簡単なトリックを含ませた構成も効いている。
大人の渋い小説としてオススメです。
音楽小説 
(2005-04-03)
Atonementについで、McEwanを読むのは2冊目。ブッカー賞を取ったときから興味を持っていたが、当時の評を読むと、ミニマリズム系の小説家と思い敬遠していた。全くそんなことはない。インテリの不安と子供じみた馬鹿さ加減が、巧妙なスタイルで描かれていて一気に読める。主人公の一人が作曲家、それも知識人のGoreckiと書かれていて、このあたりの感覚が分る人には必読の小説と思います。
アムステルダム 
(2004-10-24)
イアン・マキューアンの小説を原書で読むという私の挑戦、これが3冊目、一番早く一気に読んでしまいました。次から次へと成長する話の展開に、好奇心を抑え切れず物語から一時も離れる事が出来ませんでした。主人公達は、それぞれ社会的に一応成功している人達、がしかし平凡な一庶民の私でも、各主人公の気持ちになりきりながら読めるのは、マキューアンの心理描写の上手さなのでしょう。これぞ現代社会が生み出した大人の男達のサバイバル物語、そういう男性達に囲まれながら、やはりサバイバルしている女性達を、この物語は大いに楽しませてくれる事間違いなしです。なのに星4つ・・は限りなく星5つに近い4つです。もっと面白い将来の本を期待して・・ファンとしてはまだまだ満足させ続けて欲しいのです。
小説の美食家のための小説 
(2002-07-30)
マキューアンの小説は緻密な職人芸で綿密に組み立てられたガラス細工の趣きがある。とにかく理知的で端正な文章、感傷を排したクールな語り口、隙のないプロット。初期のマキューアンは近親相姦やカニバリズムなどグロテスクな題材を好んで扱い、ちょっと昔の筒井康隆を思わせるブラックで残酷な小説の書き手だったが、今やプロットは洗練され、文体は研ぎ澄まされ、ひんやりした残酷味を漂わせつつ展開するストーリーはエレガンスを感じさせる。あからさまでなく、隠し味のように漂うブラックさはアクが強い初期作品よりはるかに上質だと思う。自ら「今では社会のテクスチャーがぼくを魅了します」と語るマキューアンらしく、不思議によじれた人間関係をカタストロフィーにまで突き詰めていく手さばきは的確で狂いがなく、一度入り込んだら目を離すことなどできなくなる。訳者が書いているように表面的には既存のプロットを再利用しながらも、やはりマキューアンにしか書けない小説になっているのは、彼の最良の持ち味が巧妙なプロット以外の部分にあるからだ。だからこそこの小説は何度読んでも面白い。小説の美食家のために書かれた小説だと思う。