The Bear and the Dragon (Random House Large Print (Paper))
Tom Clancy Random House Large Print
グループ:Book /ランキング:432010
価格:¥ 2,997
発売日:2000-09-05 /只今品切れ中
レビュー(Amazon.co.jp)
権力とは喜ばしいもの。それが絶対的権力ともなれば、喜びもまた絶大である―― しかし、権力も地球最大クラスのもので、その地球が時限爆弾のチックタック音の聞こえるような状況となれば、喜んでなぞいられまい。CIAの「闘士」から合衆国大統領に転じたジャック・ライアンがおかれているのは、まさにそんな状況だ。雄大なスケールのこのスリラーで、ライアンは、アジアの狂気じみた将軍やロシア人の殺し屋、どこに潜むかわからぬ原子力潜水艦を相手に、もっか身動きもままならない状態なのだ。それに、登場人物の行動の目的が極めて単純明快なのにひきかえ、出てくるコンピューター・テクノロジーときたら10億分の1秒レベルの複雑さときている。「緊急事態だ、おまえイージス・ミサイルの索敵弾頭ソフトのリプログラミングができるか?」――あなたがジャック・ライアンなら、これができるプログラマーを探し出すべきだろう。さもなくばパレードの列に、弾道ミサイルの死の灰が降ることになる。再選には不利な事態である。「本当はこの仕事あまり好きじゃないんだよ」――ライアンはアーニー・バン・ダム補佐官に弱音を吐く。返ってきた言葉はこうだ。「どうせおなぐさみの仕事じゃないだろ、ジャック」
楽しめる小説であることに間違いはない。1000ページを超える長さだが、一気に読めてしまう。なにしろのっけから、メルセデスの防弾自動車に乗ったロシアの諜報部長が、手動発射式RPGロケット(ロケットで飛ばす榴弾)で吹き飛ばされそうになるときている。ライアンが放った腕利きの秘密工作員から、ロシアの諜報部長の代わりにロケットで飛ばされたのは「ラスプーチン」の異名をもつアブジェンコという悪党だ、との報告が入る。これはKGBで売春専門の女スパイを養成する「スパロウスクール(スズメの学校)」をとり仕切っていた男である。事件後間もなく、犯人とおぼしき2人の男が、サンクトペテルブルク市を流れるネバ川に手錠でつながれて浮かんでいるのが発見された。顔はまるまるとむくんで。
深まる謎につれて、ストーリーも緊迫の展開をみせる。シベリアの地に膨大な油田と金鉱が発見され、中国の経歴不明な悪辣首相、ジァン・ハン・サンは、北方への権勢欲をむき出しにする。ひそかに準備される事件に絡む、免職処分になったソビエト軍の元幹部や、天安門事件反体制派の新世代たち、ダニエル・スティールの大ファンで、策略家のジァンの事務総長、リァン・ミン。新技術に明るく、インターネットポルノ中毒のCIA工作員チェスター・ノムリ。彼は日本製コンピュータのセールスマンに化けて中国に侵入している。ノムリはCIAの上司メアリー・パット・”カウガール”・フォーリに電子メールを送る。ドリーム・エンジェルの香水と、通信販売で取り寄せたビクトリアズ・シークレットの緋色のランジェリーで、ミンを「落とす」段取りだ(むろん、神と祖国のために)と。そのミンは、ノムリを「同志」ではなく「マスター・ソーセージ」と呼ぶようになる。そもそもいったい誰がミンの「マスター」になどなれるものか?
ストーリーの組み立てのうまさは超一流だ。地球中を舞台にしたあっと驚くようなサブプロットが絡まり、数ページごとに頭脳明晰な人物たちが新たに登場しては互いの知性の競い合いをする。しかも著者は、各所にちょっとした見解を淡々とはさむことも忘れてはいない。共産主義のいやらしさ、大統領の権限に対する許容しがたいマスコミの介入、毛沢東の性的倒錯、ロシア製拳銃消音装置の質の悪さ(「鋼綿の詰まった缶カラみたいなクズで、10発も撃たないうちに壊れてしまう」)、相手の喉をナイフでかき切るのは馬鹿げているということ(「そんな殺し方では、倒れるときにドサッと音がしてしまう」)、などなどである。つまり本書は、戦場さながらに、読者の気をそそる精密な戦闘用器機に満ちあふれているというわけである。クランシーの小説があったら、アクション映画を見に出かける必要などあるだろうか。
カスタマーレビュー
おすすめ度:
中国の人は怒るだろうなぁ・・・。 
(2008-01-22)
今回の悪党はこれまでの作品で陰で糸を引いていた中国です。私は親中派ではありませんしどちらかと言えばアンチ派なのですが、それでもそこまでやっていいのかと心配する位中国をコケにしまくっています。共産党独裁、傲慢な中華思想、台湾問題、一人っ子政策、女性差別、宗教弾圧は広く知られている所ですが、国家権力による強制的な中絶、聖職者の殺害、毛沢東を始めとする幹部の異常性癖等、従来の作品には見られなかった極めて感情的で過激な敵意をむき出しにしたストーリーのオンパレードで、ロシア幹部暗殺の企みなど霞んでしまいます。
換言すれば、資本主義、民主主義、男女平等というアメリカが絶対に譲れない価値観を逆手にとって中国の異質さを最大限に誇張している訳で、アメリカ世界一っ!という余りにあからさまで恐ろしくなるほど純粋な感情がほとばしっております。日本も前々作でやっつけられましたが、これ程ひどくはなかったですし一部ご愛嬌な部分もありました。中国の人が読んだら、さぞかし怒るだろうなぁ・・・。
こうした導入部に比べると実際に戦争が始まる後半は些か間延びしています。ジャックの立ち振る舞いも取ってつけたようで、クライマックスを含め余り感心しません。Nomuri(野村?)という名前の日本人スパイが登場し、またしても作者のいい加減さが証明されました。邦訳では一体どうなっているのでしょうか。
なんだかなー 
(2005-04-25)
トムクランシーもすっかり筆力が落ちたな、という感じ。やたらとベッドシーンが出てきたり、同じ表現の使い回しや、引用がくどかったりというレベルではなくて、なんというか濃度が薄くなってしまった。しかし一番ひどいのはやはり翻訳。軍人に「○○しちゃう」「あ!○○なんだ」という間延びしたようなという場違いな言葉を話させたり、下位の者に「あなたは~ですか?」と不自然な言葉、最悪なのはこの翻訳者は、これの前の作品でずいぶん指摘されていた、退役したとはいえ一下士官が元艦長に「あんたは、~!」などと翻訳することをおかしいと感じてない軍事的なセンスがまだ続いていることです。。新潮文庫になってから確かにトムクランシーはつまらなくなったが、翻訳がそれに輪をかけている。いったいどうしてしまったんだろう。まぁ、いままでのキャラクターがたくさん出てきたので星を一つおまけ。それにしても、異様に性のシーンやそういう言葉が出てくるのには本当に違和感を覚えます。つまらなくなったー‥
旧共産圏を探るライアン政権 
(2004-06-12)
旧共産圏、ロシア、中国の内情を探るライアン政権、
従事するCIA工作員の様子がよくわかります。
ロシアでは、ベンツに乗っていた売春婦の元締めが
テロによって殺害され、原因不明で、犯人などを
探し出そうと躍起になっていた。 また、ロシアの
長官を狙った犯罪ではないのかと疑われていた。
欧米人からすると中国人はつきあいにくく、
スパイ行為も難しいらしい。
そのため、日本の電気メーカーの日本人営業マンで、
スパイ兼、CIA工作員が登場し、大臣に仕える秘書を
買収し、極秘情報をつかむことに成功していた。
ライアン政権も極秘情報が手に入り
今後の対中貿易に役立てようとにらんでいた。
所々に出てくるロシアや中国の内情は、驚く真実
ばかりです。 今でも、いかに国家権力が強いか、
人民に自由がないことなど。 また、中国では、
一人っ子政策で、余分な女の子を平気で殺してしまうとか。
外国人が中国で、中国人に技術を盗まれ、赤字に
陥るかなど、深刻な記述が載っています。
ジャックライアンシリーズは初めてかまだ2作目という人には楽しめると思います 
(2004-04-14)
本作のよい点は最後の爽快感です。いつものように最後に大逆転劇があります。しかも正義が悪を打ち負かします。
反面、本作の悪い点は、他のジャックライアンシリーズと同じワンパターンであるということと差別的表現です。本作のいいところでもあるわけですが、今回も正義が最後に大逆転するパターンです。また今回もヒーローは徹底的に善の存在へ、敵は徹底的に悪の存在へ仕立てあげられています。悪の存在であることを強調する手段として差別も用いています。アジアや時には日本を軽蔑する表現も所々で用いられます。
読者がジャックライアンシリーズに期待するにはまさにこういうパターンなんでしょうが、最後の爽快感も回を重ねればそれほど爽快ではなくなり、日本人である私にとっては差別表現の不快感が爽快感を埋め合わせてあまりあるようになって来ました。
結論、私ならジャックライアンシリーズは初めてか1作しか読んだことがない人にはお勧めしますが、2作以上読んだ人にはお勧めしません。(初めての方にはこちらより傑作「レッドオクトーバーを追え」がお勧めですが。。。)
がっかり 
(2003-01-06)
本作には正直がっかりしました。 長くなる一方のクランシー作品。ほとんどは前半に積み上げられる些かダルイふせんに費やされているのですが、その緻密さと知識に裏付けられた内容、そしてそれらが終盤に向かっていっきに収束、爆発していく語り口に最後は満足していたものでした。 しかし本作にはあまりに多くの小話や無知からくる差別的発言等、作品には不要と思われるクランシーの世界観とも言えるものがうっとうしいほどに顔をだし、気持ちよく読み終える事ができませんでした。 少なくともペーパーバック4冊分も払ってまで読む価値はないと思います。
無駄を排して最初の3冊を2冊位にまとめてあればまた違ったレビューになっていたでしょう。