カスタマーレビュー
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世紀末ツアーへの招待 
(2006-12-09)
barbara tuchmanといえば、guns of augustが有名ですが、私はこちらの方をお勧めします。購入した当初(1980年)は、私自身が、”第二次大戦こそが分水嶺”というイデオロギーに染まっていたためでしょうか、また題材が多岐にわたっているため、なかなかスムーズに読み終えることは不可能でした。一部を読んでは中断しまた読み直すという形で、読み終えるまで10年という時間がかかりました。いうまでもなく、1914年は、第一次大戦の始まった年であり、ひとつの時代の終焉を象徴しています。したがって、この作品が伝えるのは、いまや想像するのも難しい世紀末の20数年の空気です。それもフランス、ロシア、ドイツ、イギリスそしてアメリカなどが舞台となります。描写は、時系列に1890年から1914年までを、順にたどるのではなく、この時代を特徴付けるいくつかのテーマごとに進められます。テーマは、政治の変貌、社会主義者とアナーキズム、文学、音楽などと幅広く、テーマごとに、中心となるパーソナリティが登場します。著者のアプローチは、自身の解釈を前面に出すというよりは、あくまでも当時のオリジナルな文脈の中での歴史の再構築です。パリを征服したディアギレフの部分は”春の祭典”の初演まで、ダイナミックな叙述が続きます。リヒアルト・シュトラウスの部分は、この不思議なアヴァン・ギャルドの1914年までの軌跡を見事に整理してくれます。日本人にはなじみのない話題も取り上げられますが、最初の入門書としては最良の作品です。