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一般相対論に挫折する前に必読! 
(2003-11-27)
副題に「Introduction to General Relativity(一般相対論への入門)」とあるとおり、この本は大学学部生レベルの一般相対論の入門書です。
大学のふつうの授業や標準的な教科書は、まずテンソル解析の知識を学生に詰め込んで、有名な重力場方程式にたどり着く前に学生を挫折させるところから始まりますが、この本はそうではありません。
この本には、重力場方程式と測地線方程式は1本も出てきません。代わりに出てくるのは、「計量」です。
計量とは、地球やブラックホールのように重い物体が存在するとき、そのまわりの時空がどのように歪んでいるかを示す量です。これを重力場方程式から導出するには、本来は微分幾何という難しい数学が要ります。
が、この本では難しい話は抜きにして、とりあえずブラックホールのまわりの計量がどのようになっているか、まず示してくれています。レベル的には、日本でいえば高校ほどの数学の知識でじゅうぶん読めます(ただし、特殊相対論は一応知っておく必要があります)。
そしておもむろに、「もしブラックホールに宇宙飛行士が落ちたら、何秒以内に脱出したら助かる?」とか「事象地平内部なら光速を超えられるって本当?」といった、まるで読者じしんが宇宙旅行をしているかのような、生き生きとした問題を提示してくれます。そして計量を使って計算すると、手にとるようにその答えがわかる……
「ね、一般相対論ってこんなに面白いんですよ」というのが、この本の狙いです。
やさしい言葉遣い、ユーモアあふれる文章。まるでSFのような奇想天外な舞台設定。おそらく、世界で最も楽しい一般相対論の入門書でしょう。おすすめです。