カスタマーレビュー
おすすめ度:
ヒーローの闘争 
(2008-05-04)
☆ どういう人間がこれを書いたか。
おちゃらけたぼんぼんだったために、K2(世界第二の高峰、パキスタン領)登山で負傷して現地の貧しい病院と人々に囲まれて回復した金持ちの白人アメリカ人。突如はっとめざめて、現地で学校(とくに女子教育に力点)をどんどん建てた人物。
ものすごいエネルギー。善意の人々をどんどん参加させていくのがすごい。
☆ どういうストーリか。
学校建設の途中で遭遇する、とくに、イスラム過激派(タリバンなど)との交流、貧乏なままに放置されている現地の一般大衆 v 国連やアメリカの援助物資で肥え太るお役人、なんもわからんのにヒューマニズムだけ叫ぶ知識人 という構図が淡々と描かれる。
☆ おおげさな読みかたはすべきでないでしょう。モルテンソン氏は十字軍ではないから。
二通りの読み方がされていることは、ある程度、予想できます。この本は、たびたびNY
タイムズやカナダトリビューンで書評されているからです。
わたしも書評をみて購入した俗物のひとりですから。
ひとつはアフリカのシュバイツアー的見方。英雄物語。
もうひとつは平和主義というか人道主義的な側面を強く考える見方で、
アンチブッシュのような視点とでもいうべきかな。
ともかく、イスラムの貧困に的をしぼり、欧米社会の無知を糾弾する内容になっていることは事実。しかしこの点だけをみると、Morteson氏の意図を誤ってしまうと思う。
う〜ん、それにしても、すごい人物です。
貧困と飢えをどう克服するかを実践するのはきわめて難しい。
それを本気でやったということです。どんどん学校を建てていく。
よっしゃ、おれたちもがんばろうみたいな気持ちになりますね。
わたしたちのように、社会の底辺でがんばる立場の人間は、しばしば、
加藤周一、カンサンジュのような口先だけの、進歩的文化人のたぐいの無責任な
いいぐさに腹を立てているわけですが、この人物は、ほんものですごい。
☆ 平明な現代米語。日本の中高生でも、早く読めると思います。
日本でも翻訳本を! 
(2008-01-16)
この本、、というか正確にはGreg Mortensonのことをアメリカやアメリカの戦争を指示してきた日本を含めた「参戦国」の人間に読んで欲しい。すばらしいアメリカ人と正しいアメリカ、がちゃんとここにいる。政治、経済、文化、宗教、性別、などの人間の概念にあるすべての枠組の及ばない「正義」を実践してきた一人のアメリカ人と彼をサポートする最も保守的なイスラム社会の中の「正義」。その「正義」が融合して何倍もの力を発揮する様は感動的である。Greg Mortenson's achievement makes Al Gore's Novel Peace Prize a joke.
勇気の飾り気の無い美しさ 
(2007-05-05)
9・11のテロ以降、世界中ではイスラムという言葉に少なからず抵抗感、嫌悪感をもってきた。しかし、その漠然と存在している思いはこの本を読むと一瞬にして崩れ、驚くと思う。このイラク戦争の原因はなにか?と問われると、イスラムの野蛮さなどが挙げられるかもしれない。しかし、本当の原因は教育が腐敗していたり、全く行われていないことにある。「無知」が問題なのだ。そして、この現状に気づいた登山家の著者が自ら学校を作っていく。地図にも載っていないようなところで一人のアメリカ人が自らの使命を課し、ひたむきに歩んでいく姿は行間から溢れてくる。大人になって「勇気」という言葉を口にすると、どこか気恥ずかしいものだが、その純粋な美しさに触れることが出来ると思う。