坂本龍一の音楽
山下 邦彦 東京書籍
グループ:Book /ランキング:90236
価格:¥ 10,500
発売日:2008-07-17 /通常24時間以内に発送
カスタマーレビュー
おすすめ度:
百科事典はつまみ食いすると美味しい 
(2008-09-08)
大著です。重い。しかも中身は楽譜に加え、見慣れぬチャート図がいっぱいで「物理の本かよ」と家族にツッコまれました。
しかし、目が慣れるにつれて、このチャート図が実はとても簡便で分かりやすいコード進行表であることが飲み込めてきます。
例えばかの有名な「Merry Christmas Mr. Lawrence」。あれを聴いて「私も弾いてみたい!」と思った方は多いと思います。そして楽譜を手に入れたのはいいものの、♭記号が五つもある五線譜にひるんでしまってそれっきり・・・あはは、分かる分かる。あれは変ニ長調なので黒鍵を五つとも使わなきゃいけない分、ごついんです。
でもこの本では「戦メリ」をはじめ坂本のすべての曲をハ長調(要するに白い鍵盤)にそろえたうえで分析しています。すると不思議不思議、するすると曲の構造が見えてくるのです。大ヒットした「Energy Flow」、米アカデミー作曲賞に輝いた「The Last Emperor」等、誰もが耳にしたことがある名曲が、編者のハ長調(というか「移動ド」)理論によってその秘密を解き明かされていきます。
とんでもないボリュームなので私自身も今のところつまみ食いの段階ですが、はっきりいって美味です!編者・山下邦彦氏は独特のネーミングセンスの方なので「わけわからん」という声もけっこう耳にするのですが、私は山下理論の転機となった『楕円とガイコツ』を読み込んでいたせいか、そんなに抵抗感はありませんでした。
欠陥もなきにしもあらず。もし皆さんが鍵盤が弾けるようでしたら♪ドーシソーミ/ラーソファーレ/ソーファミ♭ーレ♭/ミ♭ーファファー♪の旋律にあわせてAm Em/F Dm/E♭ B/D♭ Dm の和音を(三度を抜いて)鳴らしてみてください。一度と五度の音で旋律を挿みこむようにコードが配置されていることに気がつくはずです。これ、末期YMOの「Perspective」という、凝った転調が魅力の渋い名曲でして、本書もそこを分析して称えていますが、当の作曲者はそういう計算では作っていないと思います。
等など不満点もあるのですが、こうした欠陥も自分の指で音を鳴らしてみることで十分克服できます。分厚いから楽譜立てに載らないって?私はコンビニのコピー機でチャート図を複写して、それを使ってコード弾きしてますよっ。