カスタマーレビュー
おすすめ度:
専門的にはともかく受験生としてはありがたい本 
(2008-10-19)
この参考書で小論文入試を突破した一人。
近現代哲学の潮流がまとめられており、高校生が試験対策の哲学思想を
詰め込むのにはかなり役に立つ。
難関大学などを論文で突破しようと考える方には特にお勧めする。
私は三年の冬から読み始めた。
この本で先学の内容を多少なりとも理解して、あるいは理解はできないま
でも自分の頭に詰めこんで書いた小論文は、少なくとも自分の思い込みや
独断のみで書かれた小論と比べて相当の出来の違いを生ずると思う。
確かに思想的には偏っているが、小論文のレクチャーが表面的な
技術論だけに終っていず、重要な哲学思想を小論文受験生向きに
アレンジした点ではわかりやすく、有益である。
また内容の点では、これだけ幅広い分野を一分一秒を争う受験生
に解説するには、この程度の深さが限界だろうとも思われる。
大学と高校の橋渡し的参考書程度に思って貰えれば良いと思う。
大学で少し勉強すれば、内容が微妙に間違ってたり思想が偏っているなど
ということには後で気が付けるはずなので、小論受験生の方は怖がらずに
読んで、できるだけ先学に基づいた小論を書いて欲しいと思う。
なお、同様に哲学潮流を概説した小論文の参考書で、もう少し価値中立的
と思われるものがもしあるならば、そちらをお勧めする。
小論文というよりも知の構築のために 
(2008-08-09)
高校の先生が書く,小論文対策の本
内容は他のレビューにお任せするとして内容は,
「小論文で何の力を試験しようとしているのか」に注力して
書いている本です.
つまり,まず,論文と作文の違い,それは学問と小説の違いを
ちゃんと理解した受験生かどうかについて試験していると考えられます.
論文のもう一つの側面は,先人の知見を基に発見した知見を
乗せてゆく作業です.この本の多くを割いている第2部の
20世紀的「知」の構造は元大学院哲学科で学んだ背景が生かされている
良い先人の知見の要約です.その先人の知見をたった150ページで
得られるこの本はとても有益だと考えます.
社会科学の素地を述べているこの本は,社会科学的見地を必要と
感じていない一部の大学の小論文対策には過剰かもしれません.
しかし,社会科学的方法論は学問の中に留まらず,考え方の
やり方という意味で社会人にも有益だと思います.
教養としての教科書 
(2008-01-31)
第二章に関する背景知識がある者にとっては、知識の復習、極めという形でさらに教養を獲得できる本であると思う。
この本を読んで思ったのだが、文部省検閲教科書を使って高校の授業を理解することも教養としては大切なことである、しかし、この本を一冊読んで理解して、感想文なり要約なり(この本自体かなりの抽象化された文章であるわけだが)に取り組むことも、読者の今後の人生の一つの基礎として大切な知識になるのではないか。そして、教養を兼ね備えた人間としても成長できる本であると思う。
最後に、あくまで個人の一意見なのではあるが、日本の一部の受験参考書業界は本当に腐っている。
日本の高校生をなめてかかっているとしか、言いようがない。
方法論としては?だが・・・ 
(2007-11-16)
前半にある「論理化の作業」や「べからず」集などの論文を書く際のルールについて触れている部分はまだよいにしろ、キー概念やキーワードをまず列挙してから構成を考える、という方法論については私にはあまり有益ではなかったように思う。文章構成を決めるやり方はこれだけに限定されないべきではないか。
しかし、それを補って余りある有益な要素がこの本にはある。それが2章に示された、現代思想のエッセンスを凝縮した叙述である。多少、また場所によってはかなり偏ったやり方ではあるのだが順をおって理解が可能なように整理されていて、1回で読み解くのはほぼ不可能だと思われるが何回も読んでいるうちに現代思想における基本的な思考方法、知識が身に着くようになっている。私は高校2年のときに偶然この本を手に取ったのだが、この本を購入していなかったならば進学する際にまったく違った選択していただろう。少なくともいち高校生にはそれだけのインパクトがある本である。それゆえに、高校生であれば自分の思考力に多少なりとも自信があり、また時間に余裕がある人にしかオススメはできない。大学生ならば、専門分野の基礎科目の履修がすんだ際に一度振り返るという意味で参照してみるときっと新しい発見があるだろう。実際私も今懐かしく読ませてもらっている。
知識を得るために 
(2007-10-09)
この本は副題にあるとおり、論文の書き方を指導する本ではなく、書くための知識を得るための本です。
論文を書くために知識は必要不可欠なので、知識の絶対量が不足しがちな高校生にとって、まさに救世主のような本でしょう。
また「ゆるぎない価値観を持つべき」という、著者の論文についての根本的な指摘も高く評価できます。
ですが、著者の論文書法については疑問を感じます。模範解答例のいくつかは、エッセイかと見まごうばかりです。
少なくとも「社会科学・自然科学分野」の教授方には、著者の書くような「根拠を十分示さないまま断定的に論述する」文章はかなり嫌われるでしょう。
そういった点では、あまりこの本を盲信するべきではないと思います。