ピックアップ
 カテゴリメニュー
 特集

テレビ特集
 SPECIAL LINK
 PR

 商品検索
 商品詳細
ニッケル・アンド・ダイムド -アメリカ下流社会の現実
曽田 和子
東洋経済新報社

グループ:Book /ランキング:41597
価格:¥ 1,890
発売日:2006-07-28 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
ウォルマートで毎日働いても、7ドルのポロシャツが買えない  (2008-09-16)
日本でも昨今「貧困層」「ワーキングプア」というテーマでのルポが発表されている。
2001年にアメリカで刊行された本作はその先取りで、作者は下流社会を体験するために低賃金労働をしながらその収入だけで暮らす。住む場所も当然安い場所を探さなければいけない。
面接(薬物検査を含む)を受けてから、採用、教育、評価、退職という仕事の出来事に加えて職場での人間関係、同僚達の性格や暮らしぶり、自身の家探しや家事なども入念に細かくレポートする。
こうしてディテールを書き込むことで、下層社会にいると陥る視野狭窄(身近な人間関係や細かいことが異様に気になる。小さな昇給でもすごくうれしくなる。上司に褒められるととてもうれしくなる、等々)を、私たちも体験する。そしてその泥沼から抜け出すことがどれほど困難なのか、理解できる。
家庭の清掃サービスで床を拭く際の指定された水の量や、給与、昇給額、家賃、周辺法律など高い視点から描くと決して拾うことができないディテールは本書の魅力なのだが、ディテールを書き込んでいるにしては訳文が下手で(やたら句点が多く、語順も読みやすくはない)、読みながらその世界に没入することができない。
アメリカも日本も同じく、貧困層の拡大を、知識階層や富裕層が気付かず、あるいは気付こうともしないまま手を打たなかった。結局貧困層が社会を崩壊させかねないほど大きなヴォリュームになってしまった。その後のアメリカの末路は、おそらく軌を一にする日本の運命でもあるだろう。当時は「アメリカってすごい格差」と驚きをもって日本で読まれた本書が、今ではおそらく共感とともに読まれている。

アメリカのホームコメディのよう  (2008-07-13)
 生物学者でもあり、作家でもある著者が、3つの州の低賃金労働者の中へ飛び込んで
実態を描く潜入ルポという形式の本です。私にとってはアメリカの雇用において衝撃的
な事実をこの本によって知りました。1998年4月まで連邦政府が保護を命ずる「トイレ休
憩の権利」というものはなかったということです。そのためウエイトレスが尿漏れパッド
を据え付けてる場合があるということです。そして、メイドサービスのきれいは単なる
舞台装置のようなものであり、本当の清潔感とはかけ離れているということや就職試験
には薬物検査がつきものだということなど。このように普段知ってるアメリカと違った
アメリカが見えました。ルポ部分は、アメリカの連続ホームコメディのようです。


 そんな彼女が最終章ではどんなまとめをするのか楽しみに読んでみたけど、そこに
解決策が見出されるものではありません。ただ、アメリカでは格差社会が進み、富裕
層には働く貧困層が見えにくくなっているということなので、その底辺に光を当てた
という事ではこの1冊は重要な役目を果たしたということでしょう。

優れたレポートであり、「文学」でもある  (2008-06-21)
 米国の労働人口の3割を占めるという時給8ドル以下の低賃金労働者。中流以上の階層には目に触れる事さえほとんどないその生活を、ジャーナリストの著者が実際に試みた突撃レポートである。ホテルや邸宅の清掃員、ウェイトレス、スーパーの店員…時には複数の仕事をかけ持ちしながら、しかも家賃(日本の基準から考えても驚くほど高い)や食費(飢餓線ぎりぎり)で手一杯で、5セント(ニッケル)・10セント(ダイムド)の帳尻あわせに汲々とする日々。努力して仕事をこなしても待遇が良くなるわけではなく、さらに多くの仕事が押しつけられるばかり…。
 暗澹たる気持ちになるのは、貧しさだけでなく、そこに希望や人間としての尊厳がないこと、むしろ意図的に従業員を極限状態に追い込み、自立心や判断力を奪うことで管理しやすくするシステムである。作業中は水さえ飲んではいけない。私語は「時間泥棒」。トイレの時間さえ制限される。某大手スーパーでは従業員が会社を讃える歌を斉唱するような洗脳まがいの社員教育(日本企業がお手本だそうな)が行われ、某ファミリーレストランでは仕事中に新聞をのぞいたというだけで軍隊式の懲罰的な作業が科せられる。どこかの独裁国家と本質的に何が違うのだろう。
 本書の奥深さは、時にはこうした理不尽や不平等への怒りを爆発させながらも、一方では一種突き放したような冷静さで、問題の底に横たわる構造的な部分を分析する視点も保ち続けている事だろう。また、仕事の合間にふと気付く季節の移り変わりや周囲の人々の哀歓、過酷な暮らしにささくれ立っていく自身の内面を描いた部分などには文学作品のような趣きも感じられる。
 将来、古典、とまでは行かなくても、2000年代先進国の低賃金労働(決して米国に限らない)の実態についての基本資料となる1冊かもしれない。その期待も込めて5つ星の評価とした。

階級的配慮、ジェンダー的繊細さ  (2008-03-24)
本書は「働く貧困層」への憐憫の書ではない。概してこのような書で警戒されるのは、中上産階級の慈善的視点から描かれているのではないかということであるが、本書の著者エーレンライクは(夫がUAWの活動家ということもあるが)自らの階級的地位をしっかりと踏まえたうえで、労働の旅に乗り出している。本書ではスーパーの店員、レストランの給仕、介護職が「実践」されているが、著者がその実践をふまえ発見した大切なことは、こうした仕事が一般におもわれているほど単調なものではなく、個々人の技能やケアの「心」が動員されてなりたつ労働だということだ。「働く貧困層」は放縦と怠慢ゆえにこうした仕事しかできないわけではないのだ。
 日本でも、「参与観察」というかたちで若手の研究者が労働現場に入ることがはやっているが、本書のような「階級的」配慮と「ジェンダー的」繊細さを兼ね備えた作品は、いまだもってみたことがない。概して教条的なのだ。ケアが動員されるサービス業の実態を捉えるうえで格好の一冊といえる。

ダラダラと書かれている、とのコメントに驚き。  (2008-01-25)
日本語翻訳版は読んでいませんのでどういう訳になっているのか知りませんが、原本はたいへんよく書かれています。
エーレンライクは独特のユーモアの持ち主で、ウィットに富んだ皮肉など上手におりまぜ、アメリカの貧困・階層事情という暗い内容を、一気に読ませ理解させてくれます。
ウォールマートやレストラン、トレーラーの住居事情など、アメリカにいれば誰でもピンとくる状況が日本にいては今ひとつつかみかねる、ということはあるかもしれません。そのへんが伝わらないことで「だらだら書かれている」といった批判になったのでしょうか?納得できず一言書かせていただきました。






Copyright 通販のKAIST. All rights reserved.
/ Powered By AmazonWebService4.0