ハードワーク~低賃金で働くということ
椋田 直子 東洋経済新報社
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価格:¥ 1,890
発売日:2005-07-14 /通常24時間以内に発送
カスタマーレビュー
おすすめ度:
体験ルポは貴重 
(2007-08-08)
公共部門のスリム化、合理化のもとに公共の福祉が犠牲にされ、市民生活の根幹が破壊されていく現実を描写した秀作。中産階級の女性である著者がよくここまで挑戦できたと思う。彼女は、最終的に変える場所があるから良かったのであるが、彼女と働いていた人たちはその過酷な労働環境の中でひたすら耐えながら働いていかなくてはならない。
小学校の給食は、サッチャーリズムで入札制に変り、子どもの栄養事情よりもコストが最重視される本末転倒の現象が起こっている。一箇所で数校分の食事を限られた時間と人数で作らなくてはならない現実とその中から抜け出せない労働者の現実がある。それを理解しようとしないマネージャーたち。社会や職場の人間関係は分断され、質は、悪化する一方である。
本書の中には、ないが、有名な若い英国人シェフが給食革命の番組に出演して、食育をテーマに貧困化した給食の復活を目指している。新自由主義経済の後の反省と回復の兆しが、ほんの少しではあるが、芽吹き始めたのは、うれしいことである。
しかし多くのハードワーカーの現実は、本書にあるように、まだ冬の状況で厳しく、安心できる状況とは、程遠い。日本も現政権では、この路線を踏襲するようで恐ろしい。
最後にシモーヌ・ヴェイユやフランスの労働司祭のように現場を体験して自説を主張する人が結構いるのに比べて単なる机上で編み出された主張が多いわが国の状況は、少々寂しい気がする。
低賃金の生活 
(2006-05-21)
イギリスの話だからと流せないので、読む価値はある。
最低賃金の職場を経験した方法に対し賛否両論なのは、
読み手たちの立場にも関わるのであまり考える必要はないと思う。
世間並の楽しさを与えてくれる店や行動が制限されるその生活と、
上昇出来ない社会構造の状況に衝撃だ。
低賃金労働者の生活に深く入りこむルポにならないのは
その生活が厭だし、自分が当たり前に生活していたレベルを大切にしたい
その正直な本音によると思う。
このことを踏まえて低賃金労働者の生活を上辺でも知ることは無駄ではない。
とりあえず「やってみた」というのは買い 
(2006-01-20)
いろいろ突っ込みを入れたくなるところはあるが、低賃金の職種に就いて、公団に住む生活を体験してみるというのは貴重な姿勢。
イギリスの公的医療サービスの明らかに不可欠な仕事が派遣会社などを通じて低い給料で働く人により運営されているのには驚いた。
日本でも派遣会社の台頭が著しく、長者番付に派遣会社社長が登場しているが、低コストの労働力を供給するためのシステムで稼ぐ長者の存在意義が良く分からない。
作者の「必要な仕事をしている人たちなのに、何故その仕事で得る収入で生活ができないのか?」という疑問にはうなずける。それで回っていかない社会はやはりどこかおかしいのではないかと思える。
もうひとつ印象に残ったのは子供の「機会の平等」に関して。親の競争の結末が家庭環境であるとしたら、子供が生まれる家庭を選べない以上、子どもの「機会の平等」を保障するということは親の競争の結果に対してやはり最低限の保障をする必要があることになる?(子供を親から切り離して宿舎に入れるなら別だが・・)
「機会の平等」と「結果の平等」は家庭を通じてリンクしている?と考えるべきなのか?「親の敗北」が「子の不利」になるようではやはり「機会の平等」が保障されていないということになる。
いちじるしく「機会の平等」のない「競争社会」は「弱肉強食」としかいいようがない。
・・・日本とわが身に置き換えて見れば、とにかくわが子の教育費だけは惜しんだらいけないとうことか。
貧困層を消費社会へ立入禁止する過酷なアルパトヘイトを描く 
(2005-12-06)
英国の女性新聞記者が、最低賃金で働く者の生活を体験した、一種の「潜入取材」記録です。
著者が確保した住まいは、不潔で悪臭に満ちた低所得者向けの団地の一室でした。ベッドや最低限の家具を購入し終わると、限度いっぱいまで借り出した低所得者向けの貸付金はほとんど底をついてしまいます。
仕事が決まると同時に生活保護は打ち切られ、著者は「最初の給料日までどう暮らしたらよいのだ」と、憤りに駆られました。
実際に著者が経験した仕事は、荷物の運搬係、給食のおばさん、託児所、飛び込み電話セールス、早朝清掃、ケーキ製造所、老人ホームの介護補助など。
著者は職探し段階から担当者の気まぐれに振り回されます。やっと採用されても、待っているのは過酷な肉体労働と仕事のじゃまをする規則の数々。たとえば、老人ホームのトイレで受け持ちの老人が倒れたとしても、老人に手を貸してはいけない。定められた器具を使わなくてはいけない。もし何か事故があっても雇用主は責任を取りません。
あらゆる不条理を経験した著者が政治に向ける言葉は激烈です。
金持ちはさらに裕福になり、貧しい者は所得と資産の両面で取り残され
る時代が始まったのだ。
ほかのすべての人たちが生きている消費社会への「立ち入り禁止」。
過酷なアルパトヘイトだ。
貧しい人たちが飢えていないのなら、それでいいじゃないか、といえる
だろうか。いえない、と私は思う。
経験と理論の両面から訴える社会正義は説得力があります。
少しだけアメリカの現状を書いていますが、英国よりはるかに悪いのが実態です。社会保障が整っていないため、死にたくなければ働しかありません。当然、就職率は高くなりますが、これはいわば強制労働のようなものだから、賃金が低く抑えられます。
日本が悪い意味でアメリカの後を追わないよう願うばかりです。
チャレンジ精神は認めるけど・・・ 
(2005-10-13)
どっかの良家のお嬢さんが、良い大学でてNHK入って撮ったドキュメンタリーという感じ。子供のころから朝日新聞よんで、社会に対する意識が高くて、作文コンクールでいつも優秀賞もらってましたというような。
短期ながらも自ら底辺層の生活にチャレンジしたのは認めるし、この本が面白いのもそこにつきる。しかしそれだけだ。各仕事を長くてもせいぜい1週間やる程度であれば、最初から自分が持っていた社会構造に対する先入観はブレークスルーできないだろう。始めから結論があり、その結論を強固にするためだけに、悲惨な底辺層をルポしただけのように思える。
特に、自分に都合のいいように論理展開するために、矛盾した主張も平気でしていることが気になる。また経済学に対する知識は皆無なようだ。よくいえば著者の「ヒューマニズムあふれる体験記」。しかし実際に受ける印象は、せっかくの体験であるにもかかわらず薄っぺらである。