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大学受験のための小説講義 (ちくま新書)
石原 千秋
筑摩書房

グループ:Book /ランキング:33875
価格:¥ 903
発売日:2002-10 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
そうだったのか!  (2007-08-31)
 受験の頃をはるかに過ぎて読んだが、内容を読んで「そうだったのか!」と膝を打ってしまった。
 ・小説を読むこととは、「書かれていないこと」を「読む」行為である。
 ・すべての小説は「○○が○○する物語」「○○が○○になる物語」として読むことが可能 であり、そこから本格的な「読み」の冒険が始まる。
 ・物語と小説とは、根本的に違う。
 以上のようなポイントが具体的かつ丁寧に説明されていて、これから自分も「小説が読めるようになってやる!」というモチベーションを高めてくれる。

 要は、対象に対して主体的に深くかかわっていこうとする姿勢が大事なのだ。
 受験国語だけでなく、人生全般においても通じる教訓かもしれない。

センター試験現国がなぜわからないかがよくわかる  (2005-11-07)
著者は、「秘伝 中学入試国語読解法」での論をさらに発展させ、大学入試問題で学生に求められる「小説を読む」ということの本質を、解明する。

小説においては、「登場人物の気持ち」を文中に明記すると面白くない。それではネタばれ、小説は台無しだ。だから作者はわざと隠す。暗喩を文中にちりばめる。この暗喩を読み解く。メタファーからタネを解き明かすことを楽しむ。
高度な解釈は幾通りもありうるがそれはプロの仕事。入試問題では、暗喩の解釈は一通りに収斂されるように問題が作られている。その土俵内ルールとパターンを認識すること。入試問題と、本一冊を読んで多様な解釈を楽しむのとは違う。
というのが、著者の主張である。

それにしても、やはり高度な小説解釈の方法論を駆使している。国語が好きな人にはついていければセンター試験の小説のまぎらわしい選択肢を読み解く力がかなりつくと思うが、小説が根っから苦手な人にはこういうテキスト解釈の方法論自体が、途方にくれるような難解なものに見えるのではないだろうか。
男女・親子の相克がテーマに多いだけに、精神的成熟も必要だ。概して単純で幼稚な受験生にはハードルが高い。

一、二度読んだくらいで方法論が身につく本ではない。奧は深い。

大学入試問題「小説」の読み方  (2005-02-10)
 極めて特殊な文学的営みでありながら、今や4割を越える日本人が経験する大学入試「国語」。大学入試問題に取り上げるに適切な小説の要件は何か。試験問題はどういう観点から作成されているのか。そして小説を読み解くとはどういうことか。大学入試「国語」の中でも扱いにくい小説に的を絞って論じたのが本書である。
 著者の石原千秋は、受験国語について数多くの問題提起を行っている。元来は漱石の研究者であるが、その余技の範囲を遙かに越えた熱意と地道な努力は見事に本書に結実している。「小説を読む」とは「登場人物の気持ちを読む」ことだ。気持ちは文中に書かれていないから、その省略された部分をメタファー(暗喩)で読む。簡単に言えば、これがエッセンスだ。
 そのエッセンスを、山田詠美『眠れる分度器』など、大学入試センター試験及び二次試験の14の過去問を使って、著者は丁寧に解説している。解説は道草を楽しむようになされていて、受験技術の習得を目的として手に取った読者は、かなりの違和感を感じるかもしれない。だが、大学入試「国語」を題材に、小説の読み方、深め方を考えてみたい読者には、格好の一冊となるだろう。

かつて「小説」の問題が苦手だった理由が今わかった  (2004-11-03)
かつて高校生だった頃、"評論文"はそこそこ得意だった反面、"小説"が苦手だったことを思い出しました。ただ、コンスタントに成績が悪かったというより、むしろ好不調の波が激しかったので、苦手というよりも掴み所が無くてどう勉強したらよいか混乱してたと言った方が正確かもしれません。本書ではいわゆる「小説を読める」ようになる為、入試問題をモチーフに問題を解く為の暗黙のルールを審らかにしています。こう考えてみると、入試問題の「小説」は学校空間での道徳というか価値観をいかにして読み取らせるかに尽きるかだったんだなと今になって痛感させられました。もう十数年早く本書に出会ってればよかったですね。

看板に偽りあり、中身は面白い。  (2003-03-18)
まずはっきりさせておくと、受験生の偏差値アップにはあまり役に立たないと思う。特に国語のできない読者を斬って捨てている感じなので、本当に差し迫っていて点を獲りたい人は他をあたったほうがいいだろう。要は、受験を題材としているだけであって、別に受験生のために書かれているわけではないということだ。しかし。受験なんぞとうの昔という身にとってはめっぽう面白い。受験という制度や受験問題を読み解いて、潜在する読みの構造を明らかにする。そうして現れた「学校空間的」性質を批判したうえで、読者を新たな読みの可能性へと誘う。現代批評から面白いところだけ引っ張ってきて、平易な語り口で説明している。小説好きはこれを読んでさらに小説が好きになるのだろう。



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