アメリカ新上流階級 ボボズ―ニューリッチたちの優雅な生き方
David Brooksセビル楓 光文社
グループ:Book /ランキング:249765
価格:¥ 1,890
発売日:2002-08 /只今品切れ中
レビュー(Amazon.co.jp)
こんな人々を見たことがあるだろう。脂肪分ゼロのダブルトール・ラテをすすり、携帯電話でおしゃべりをする。そしてNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)を聴きながらきちんと整備されたSUVに乗って、ポッタリー・バーン(インテリア・雑貨店)へ48ドルのチタン製フライ返しを買いに行く。彼らはブランド店が並ぶ豪華な通りを、最高品質のハイキングブーツで闊歩し、オリーブとウィートグラスのマフィンのために5ドルも払うことをなんとも思わない。彼らこそが、自由奔放なブルジョア・ボヘミアン「ボボス」だ。
デイビッド・ブルックスによると、彼らは意外なことに、アメリカの現状と将来を映し出すメインストリームの文化と、1960年代の反体制的な文化を持ち合わせているというのだ。「ボボスは私たちの世代を定義づけている。彼らは新しい存在であり、彼らが持つ混在する文化は私たちがまさに呼吸をしている世界の空気なのだ。彼らのステータスが今、社会生活を支配している」。ボボスはなんともおもしろい観念を持つだけでなく、「頭脳を持つエリート」であり、家系や家柄に頼らず実力を有する。「親の七光りに頼り格好をつけているだけのやつらは、すり切れた靴をはいていても賢く、野心的で、きちんと教育を受けた反体制的な彼らに取って代られてきているのだ」
『Bobos in Paradise』は、「情報化世代の文化」を明瞭かつ快活に、しかもおもしろおかしく追求している。特に購買力といった意味で大きな影響力を持つボボスは、政治ではなく文化を通じて社会に変革をもたらした。ブルックスは、このハイソな人々の様子を、彼らの生き方、たとえば、消費行動、仕事やライフスタイルの選び方、娯楽、精神面、政治や教育にいたるまでのあらゆる面から分析することによって明らかにしている。著者は「コミック・ソシオロジー」と呼ばれる方法を用いて、統計や柔軟性のない理論ではなく、鋭い観察力や、理性や知性に基づいた論旨を明らかにしている。独自のボボス論を繰り広げるなかで、お得意のユーモアで嫌みを言うというよりは、啓発的な意味深さを追及しているように見える。
著者は、目の肥えたボボスを相手に商売をする食料品店の例を挙げている。「フレッシュ・フィールドに行くと『本日のオーガニック商品:130品目』という大きな看板を目にする。これは美徳のバロメータのようなものだ。もし60品目しかない日に来たとしたら、だまされた気分になるだろう。逆に、数字が3ケタならば、道徳的にも自信たっぷりに通路を歩けるといったものだ」
自尊心の高いあらゆるボボスのように、ブルックスは学識を軽快に、しかも快適に操っているようだ(たとえば、エベレスト登山のために動きやすさや保温性を追及した3層構造のゴアテックスのジャケットを、スポーツジムで着ているといったたぐいかもしれない)。しかし著者がユーモアのある人物だからといって、本書がふまじめな本というわけではない。むしろ、ここ最近では最も洞察力のある社会評論を行っている本といえる。鋭いアイデア、明瞭な文章。そしてそのなかで著者は、多くのボボスが政治的影響力のある仕事につくことを提案すらしている。
彼らを生み出したヒッピーやヤッピーとは異なり、ボボスは定着すると著者は主張する。「少なくとも、豊かになったという意味で、文化闘争の時代はすでに終わっている。何世紀にもわたった対立は、雪解けを迎えたのだ」。いよいよ彼らから目が離せない。(Shawn Carkonen, Amazon.com)
カスタマーレビュー
おすすめ度:
アメリカの未来が分かります。 
(2006-03-11)
タイトルにある、ボボズについてだけを読みたいのなら、最初や途中の章などはボボズ以外の階級などやボボズが台頭するようになった背景などが書かれているので、興味がない所は読まなくても十分に楽しめます。
なお、 先にポール・ファッセルの『階級(クラス)』―「平等社会」アメリカのタブー を読んでおくとさらに楽しめるかも知れません。
米国人の努力に大笑い 
(2003-03-21)
久しぶりに払ったお金分しっかり楽しめた一冊。
著者の皮肉の効いたユーモアは最高。多読の勉強家らしく理論付けはしっかりしつつ、述べられている意見は極めてユニーク。切り貼りして訳のわからなくなった日本の社会評論家とはえらい違いだ。
内容?
現代米国の新しい階級論。確かに「上流階級、アイビーリーグ、ウォール街の投資銀行勤務、外洋ヨットと英国風の邸宅」という物差しは今は「いやらし過ぎて」使えない。その代わり「スマートな金持ちと見られるための」奇妙な基準が出てきた。
ブルックスの面白さは、彼一流の「辛味」の効いた表現。
ボボスはエベレストにも登っていけるほどの防寒具をこだわって購入するが、「セーフウェイの冷蔵庫売り場」以上に危険なところには行かない。
大卒のとある女性をモデルに、彼女がボボスとして成功するまでの「汗と涙の」道のりを描いた箇所は最高。特に田舎のCATVでメディアデビューするシーンは逸品。
とにかく米国では「生まれ落ちた」以上の階級に上がることは、今も昔も容易ではないということらしい。
みんなボボズ 
(2003-02-04)
ボボズ(Bobos)とは一見奇態な題名であるが、Bourgeois(ブルジョワ)とBohemians(ボヘミアン)のそれぞれの頭をとってくっつけたものである。本書のエッセンスを極めてよく表現しているといえる。
そう、このユニークで慧眼の書はまさにBourgeois(ブルジョワ)とBohemians(ボヘミアン)の相克とそこから生まれてきた新しい世代自体を表している。
そしてその世代とはまさに今のわれわれの世代である。
本書についてはすでにとてもよくまとめられたレビューが紹介されているのでそれに譲るが、私にとってはとても新鮮で、久しぶりにまさに眼から鱗が落ちる思いであった。驚きはまさに私自身が自分にとって望ましい意味でも、反対に望ましくない意味でもボボズであったことである。そして気がついてみるとそれは何も私だけでなく身の回りにいる多くの知人友人がそうなのである。そう、みんなボボズなのである。
これまで自分の個性であり特性であると思っていたことがボボズの一人でしかなかったことを思い知らされるのは少々つらいし寂しいものがあるが、本書は政治、経済、社会、風俗、宗教等ありとあらゆる我々の行動とその背景を極めて的確に描き出しており興味が尽きない。
ビル・ゲイツが何故チノパンで株主総会に立つのか?新文化社会を語る 
(2003-01-27)
かっては、実利本位で、伝統と中産階級の道徳を守るビジネスマインドな資本主義的ブルジョアと、自由を愛し、革新的で、芸術家でありインテリであるカウンターカルチャーを志向するボヘミアンとは、截然と分かれていた。ところが、産業社会が情報化社会に移行するに従って、現在では、世俗的な出世を求める保守的な体制維持派と、創造的で文化的な反体制派とが渾然一体となり、第三の文明を創り出している。
この新しい情報化時代の新エリートであり新エスタブリッシュメント(その典型例が、ビル・ゲイツ)であるブルジョア・ボヘミアンを、BOBOと称し、そのボボズを、コミック社会風に描写し、文化様式のエッセンスやその生活を通して時代の味わいを描こうとしたのがこの本。消費スタイルやビジネスライフの革命的な変化、快楽の哲学、知的および精神的生活の特質等多岐に渡って分析しており、可成り程度の高い社会学的文化文明論だが、切り口が新鮮で、実に面白い。
政治的な分析では、ボヘミアンの理想とブルジョアの野心を満載してホワイトハウス入りしたクリントンについて触れて、ボボズ文明社会とその価値観を反映した妥協型の政治について言及し、何故、欧米等文明国で、第三の道を模索する新政治家の中道志向の傾向が顕著なのかも説いている。
情報産業化社会(知価社会)に対しては、これまで、経済社会発展論的な経済学的視点や、IT革命等技術的かつ産業発展論的な視点から議論されることが多かったが、このような、特に、人間の文化文明論的な志向・行動・心理等を重視した視点からの分析は、極めて斬新で、貴重で意義深い。この現象は、我が国でも顕著であり、この視点からのアプローチは、日本の現状の経済社会の理解にも役に立とう。
アメリカの今を知る手引き書 
(2002-10-16)
ベイエリアに住む、まさに「Bobos」世代の友達にこの本をもらった。読み進めるうちに、過去40年におけるアメリカ社会での世代交代の物語が、面白おかしく理解できる本であることがよくわかった。IT革命と呼ばれる一連の社会変化の背景にも、当然彼ら世代の活躍がある。日本において、同じ40年の間にどんな世代の動きがあったのかを重ね合わせながら読むと、さらにいちだんと面白く読めると思う。取り上げられているトピックは入り込みやすいものばかりだが、しかし示唆している内容の裾野は非常に広い。表層的な現象だけをとらえてアメリカ文化のことを語ったり、あるいはアメリカからの知識輸入をしようとする「識者」も少なくないが、ここに書かれているような背景を理解した上でいま一度何が本質皡㡊ªことなのかを再整理するために読むだけでも役立つだろう。ひるがえってなぜベイエリアの友達は、日本人である私にこの本を紹介してくれたのか?そのへんに、今のアメリカにすむ「Bobos」たちの不安の心理が少し垣間見える気もする。