若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)
城 繁幸 光文社
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価格:¥ 735
発売日:2006-09-15 /通常24時間以内に発送
カスタマーレビュー
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何が正しいのか? 
(2008-11-02)
「転職は1億円損をする」を読んでわからなくなったので、再度本書を古典的作品として読み直してみた。
つまり、しっくりこないのは、転職が損なことであるならば、3年以内に辞める若者(3年で1/3が退職)は皆判断ミスをしていて、合理的でない選択をしているということなのかという点である。
読んでみての自分なりの整理はこういうことである。
1997年のアジア金融危機、2000年のITバブル崩壊の中で、企業のリストラが進み、新採抑制とともに人件費の変動費化(要は非正規社員比率の上昇)が起こった。
このような状況の下、労働派遣法の規制緩和(1999年、2002年)で転職市場が発達し、正社員に採用されなかった新卒の派遣社員化が進んだ。
さらに、早期に辞める社員の受け皿が第2新卒市場として拡大した。
転職市場で起こったことは、能力ある人と能力主義の徹底した外資のマッチングと、それにあぶれた人の非正規の固定化。
つまり、勝ち組と負け組を仕分ける役割を転職市場が果たしたのではないだろうか。
本書で示されている若者の退職する理由は、年功序列制度が崩壊する中で、若い間は安い給与に甘んじていても、年功とともに給与が上昇して元が取れるという幻想が消滅したからであるとしている(前提として、不徹底な能力主義・成果主義を挙げている)。
一方、採用側は、これを若者の「わがまま」、「忍耐不足」としており、深い認識ギャップが存在している。
なお、最初読んだときは気がつかなかったが、「「新卒→正社員」というレールに一度でも乗り遅れてしまった人間は、二度と正社員というレールに乗れなくなってしまう可能性が高い」あるいは、これに類した表現が出てくるが、実は、これは彼が潜在的に「転職」のリスクを語っていることに気づくべきであったと感じた。
しかし、転職市場の勝ち組の受け皿であった外資系企業の採用が昨今の金融大変動の中で今後絞られるのなら、転職組には出口がなくなるということにならないか?
処方箋は、
・勝ち組でも負け組でもない、準正社員的な中庸的な中途採用を日本企業が増やすこと(能力開発投資を受けられるという意味。現実そうなってきているのでは?)
・転職の自制(転職という大きな「リスク」を取るより、不十分な成果主義を甘受する)
ということしか思いつかないが、今後、どのように転職市場は推移していくのであろうか?
問題は人事にある。 
(2008-10-31)
人を惹きつけるタイトルのこの本、内容もよく、かなり感じることが多いものでした。この本で取り上げている問題は、単に若者がすぐにやめてしまうことだけではなく、その背景にある日本の人事問題にあります。人が本来的に持っている人生の動機に答えにくくなってしまっている固定化されたキャリアパスと、年功序列制度(もしくは、年長者が若者を搾取する仕組み)、労働市場の非流動性がその問題であると著者は説きます。
このような人事システムの中では人はどうしても機械的にならざるを得ず、本来持っている素晴らしい創造性を発揮しにくくなることの弊害を著者は指摘しています。また、コストの高い熟年層を必要以上に残し、その代りに若者を採用せず非正規労働者を採用することによる技術力の低下についても本書では取り上げられています。
しかし、日本の人事制度の最大の特色である年功序列制度は崩壊しつつあります。これは、レールの上に沿った人生を進みたい人生を不安にさせるものなのかもしれませんが、一方で、人が自らの生きる意味を今一度考え、かけがえのない人生を歩いて行くきっかけを与えるのかもしれません。
主張には概ね納得 
(2008-10-28)
年功序列で収入が順調に上がった世代を守るために下の世代(本書の中では団塊ジュニア以降を指している様です)が犠牲にされているというのが大まかな主張。
いくらリストラだ、給料が上がらんと話をしてみても今の30代以下の世代に比べれば年功序列、終身雇用の利益を享受したという点において遥かに恵まれている。
かといって今の若い世代は年齢とともに給与が上がっていく保障などなく働くことになる。これが昔なら「今我慢すれば年齢とともに給料ががるから我慢しろ」で済んだが今の若者はそれでは納得できなくなっている。
なぜなら終身雇用や年功序列による利益を自分が教授する見通しが立てられないからである。という主張はある程度支持を得られるのではないだろうか。
ただしこの本の中ではそれがかなり極端に綴られているのは注意。
またこのレビューの中に「今の生活があるのは誰のおかげだ? 上の世代のおかげじゃないか」というレビューがあって笑ってしまった。というのもそれこそが本書の中で語られている「上の世代の意見」だからである。その主張が数の力によって正当化されている点についても記述されている。
若者たちよ、誇りを持ってレールを降りよ。 
(2008-10-28)
「年功序列」という未だに日本社会の根底にのさばる「昭和的価値観」を徹底的に分析・批判し、そこからの逃走と闘争を全力で応援する一冊。タイトルはややミスリーディングですね。なぜ若者たちが3年で辞めるのかを論じる以上に、むしろ3年で辞めることを奨励する論調になっています。読み終わる頃には、衝動的に年功序列というレールを降りてしまう人が続出する。かもしれない。
不自然な年功序列制度が未だに続いているのには、いくつか理由があります。まず、いったんこのレールから降りてしまうと、再び別のレールに乗ることが極めて困難であるということ。そして、年功序列的考え方と非常に相性の良い、日本型教育システムに国民が毒されているということ。こうした現在の社会システム・教育システムを根幹から見直さないことには、自然な形で年功序列制度を解体することは叶わないでしょう。
そこで筆者は最後に、若者たちに対してエールを送ります。最後にババを引かされるぐらいなら、思い切って早めにレールを降りろと。レールに沿わずに自らの道を生きろと。そして、昭和的価値観を振り払い、失われた動機を取り戻せと。
社会がこのまま変わらなければ、割を食うのは若者です。若者はなぜ3年で辞めるのか?それは彼らが、目の前に迫った「危機」を肌で感じている結果なのかもしれません。
それでもあなたはまだ、そのレールの上を目をつぶったまま走り続けますか?
自己啓発のきっかけとして。 
(2008-10-01)
第二新卒以降の転職を考えている人たち向けの本ではあるだろう。
だが、これから就職活動をしようとする学生が、自己啓発のきっかけとして読んでもよいような内容。
年功序列型が良いとも悪いとも思わないが、確かにシステム上の矛盾を孕んでいることは間違いない。
それを指摘していること自体は新しくもなんともないが、それを読者に明確に提示した上で、選択を迫るようなレトリックは、読む価値があると思った。
日本型労働市場の参加者なら必読の新書。