カスタマーレビュー
おすすめ度:
見事な訳文です。 
(2008-02-11)
最近、この翻訳作業の大半が、故矢川澄子氏の手になるものという事実が判明した。すばらしい訳文である。著者が誰かということもずっと謎に包まれていたが、その問題も解決した今、改めてこの書の真の価値が問われる時代が来ていると思う。
美しい・・・ 
(2007-08-14)
十数年ぶりに読み返しました。以前読んだときには、雰囲気は気に入ったものの今ひとつピンとこなくて理解が及ばなかったのですが、今回読み直して感動しました。異様な世界を慎ましい表現で美しく描いており、退廃的でありながら堕落ではない耽美的な世界にひたれました。
自問自答しながら。 
(2006-02-12)
本を読んでいるとその主人公に自分の姿を見て感情移入をしてしまう時と、自分とは全く違う主人公を客観的に見て楽しむ時があります。
O嬢はどうかというと、私とは全く違うけれど心の奥底ではなぜか理解できてしまう不思議な感じで読み進んでいくうちに何ともいえない
気持ちになりました。
自分もO嬢にようになりたいのか?読んでいる間ずっと自問自答していました。
そのうちどんどん自我や自意識から解放されていくO嬢に嫉妬のような感情を抱いている自分に気がつきました。
この本によって自分の奥底にあるものを見つけてしまった思いです。
魔性の名作 
(2005-10-14)
読み始めたとたん、入ってはいけない沼地に独り足を踏み入れたような気がした。
どうしたことか、足が、すっかりその泥土に捕らわれて身動きできない。
下腹のあたりがむずむずしたり、背筋もぞくぞくするのだが、とにかく恍惚として
その場から抜け出ることができない。
粘着度の強い泥土は、流れるような上質の文章である。全編に繰り広げられる
異常な光景は、人の潜在意識や願望であり、それが泥土の底から手をのばして
読む者の足を捉えて離さないのだ。
この小説がフランスで、ポーリーヌ・レアージュという匿名の作家によって発表され、
発表とともにセンセーションを巻き起こしたのは1954年のことだという。
50年の歳月を経ても、まだまだ鮮明に光を放って屹立している、魔性の妖怪のような
この文学作品は、この先もずっと生き続けるに違いない。
蒼白い美しさ 
(2005-08-30)
澁澤龍彦による「悪徳の栄え」の邦訳は、江戸期に出典が求められる性語を駆使した、やや妙な翻訳であったが、これはエレガントに格調高い。この差は、オリジナルのフランス語の文体に起因するものだろうか。とにかく、自己を他者に預け、他者の意のままになることをもって至高の愛とするパターンは、本作以降様々な文藝・映像作品で模倣されているが、いずれも本作の境地には程遠い。蒼白い美しさを湛えた名作。