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その数学が戦略を決める
山形 浩生
文藝春秋

グループ:Book /ランキング:503
価格:¥ 1,800
発売日:2007-11-29 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
あまり期待してませんでしたが、凄い本です  (2008-06-08)
これからプロとして、人から必要とされる仕事をするには、
次のいずれかを毎日実行している必要がある、ということが分かります。

1、デザインや仕組み造り
2、前例のないことやる
3、意味のある仮説を立てる
4、複雑系の事象を整理して関連付ける
5、物事を分類する
6、アイデアを実行に移す
7、なるべく多くの人に影響を与える

また、もしも以下のことにもっぱら時間を使っているようなら、
如何に社会的に地位が高く、報酬が多くても、
意外に速やかに価値を失う可能性が高い:

1、情報収集
2、情報伝達
3、判断業務

この「判断業務」には、意外にも以下のようなものが該当することが、
沢山の例示をもって理解できると思います。

判断業務の例:
1、医師の診断
2、裁判官の判決
3、政治家の政策立案
4、自治体の施策
5、ワインの価値判定
6、映画のヒットするしないの判定
7、売上を増やす為の販売条件の組み合わせ
8、膨大な通話記録から導出した犯人逮捕
9、公共投資入札での談合の摘発
10、バスケットボールの試合における八百長の摘発
11、プロ野球選手のスカウト

一見、データ偏重の軽薄な未来本の印象を与えますが、
世の中の仕組みが大きく変わってきたことが感じられるかな?というカンジです。
また、人間は如何に自分に都合の良い判断をするか、自己保身のメカニズムに囚われているか、
自分の能力を過信しているか、といったとても人間臭い部分を再認識します。

回帰分析が世界を制する?  (2008-05-31)
内容は明快です。 大量のデータを、正しい方法で分析にかけた結果の意思決定は、専門家の経験や直感に頼った意志決定に勝るというものです。 専門家にしかわからない機微はあるのかもしれませんが、人間という生き物がどうしても持ってしまう思考の偏りの短所を考えると、機械的な分析が人間に勝るというのも、首肯しうる結論なのかもしれません。 実際に、アメリカでは医療、政治、法律など、さまざまな分野において、データに基づく意思決定が重要な役割を占めることがあるそうです。 もちろん、このデータを正しく使うためには計量経済学の手法を正しく理解する必要があります。


情報技術の発達は、この計算を可能とするための大量のデータ収集を容易にし、同時にその大量データ処理も可能としました。 今後、ネット上により多くの知が蓄積されていくことを考えると、データによる分析が、より多くの分野で、人間の経験を凌駕していくのかもしれません。

もしそうだとすると、人間が社会においてもたらすべき役割は、少しずつ確実に変わっていくことが予想されます。 人間の本質的な能力が、僕がおじさんになる時代には今よりもっと大切になっていく事でしょう。 これからの時代、新たに何かを学ぼうとするときには、それが十年後に陳腐化しないのか、考える重要性が増しそうですね。

データ解析能力の必要性も改めて感じました。 自分が分析をする立場にならなかったとしても、分析結果をしっかりと読むリテラシーは、非常に大切になる事でしょう。 ということで、林文夫のEconometricsを読むことにしました。 あと、Eviewsの使い方ももっと色々と覚えないと。 


(Super Crunchingの訳が、「絶対計算」ですか。 ずっと「絶対計算」の英語はAbsolute なんとかだと考えていたので、英語の文献をググるのに手間取りました…)


エコノメトリックスのすごさがシンプルにわかる!  (2008-05-27)
 エコノメトリックスという手法が、単なる経済学の分析手法というだけでなく、およそすべてのビジネスのやり方を根本からかえる可能性を持っている、というすごさをあますところなく伝えてくれる。
 もう私には、それをマスターする脳味噌の余力もありませんが、せめて自分の子どもたちには数学を真面目に勉強させようと思うきっかけになりました。今はまだ日本では通常のビジネスではエコノメトリックスがそんなに利活用されていないと思いますが、おそらくあと20年後は、エコノメトリックスを使う人とそれに使われる人に二分されると思います。おそろしい世の中です。
 なお、以上のことがわかるためには、前半、特に第一章を読めば十分。あとは、日本人にはやや身近でない実例も多いので、飛ばし読んでも、その価値は下がらないと思います。

絶対計算は人間の直観を凌駕する  (2008-05-26)
 本書の主題である絶対計算とは意思決定を左右する統計分析です。
主な統計手法は
 1.回帰分析
 2.無作為抽出 を用います。


 絶対計算式のトピックスでは
ワインの値段を方程式で予測する方が、ワインの著述家のカリスマ
ロバート・パーカーよりも優れていた!
MLBのスカウトよりも貢献出走塁のデータを調べた方が、優秀な選手を
発掘できる。

一方、絶対計算の欠点は
 1.統計的に珍しい現象の因果関係的な影響を推計できない
 2.絶対に不適合だとわかっている臓器移植するような事態が起こる!
 3.人間は何が何を起こすのかについての仮説を生み出すのに必要。
  そしてこの点では人間が絶対計算を上回っている。

面白いトピックスは本書全般に溢れています。また翻訳家の山形調は健在。
そして本書のレビュー群も見事に絶対計算の中に組み込まれていきます。

量が質を変え始めた兆候  (2008-05-19)
人間には直感と言うものがある。
大量の事例を参照した人が、それらから特徴的な傾向を抽出し、それを元に新しい事例がこの先どう推移するのかを予測するものだ。

統計には回帰分析という手法がある。膨大な事例をデータとして投入し、「これとこれの間に、こういう式が成り立つとすると、係数はいくつが妥当で、その予測はどれぐらい妥当なのか?」を教えてくれるというものだ。

特徴量をいくつかピックアップし、回帰分析の総当たり戦を行う事を考えよう。いくつかの組合せが結構高い妥当性を見せたとするならば、その式は新しい事例において予測に使えるに違いない…これが本書で Super Crunch と呼んでいる手法だ(「絶対計算」はちょっと訳として酷すぎる)。一般にはデータマイニングと言われる。そして…ここが最も大事なポイントなのだが…これは人間が「直感」でやってきた事と同じジャンルについて、人間よりも遥かに精度の高い予測結果を提示する。人間と違ってバイアスがかかったり、忘却したり、膨大な計算に疲れたり、間違えたりしないからだ。

この本は、計算機の演算能力とデータ保存容量の爆発的な増大によって可能になったこのデータマイニングが、いかに有用か、いかに今までの人間の直感を凌駕しつつあるかが示されている。これは統計学がいよいよあなたの身近な世界を変え始めている、その兆候を記した本だ。

是非、お勧め。特に、十代、二十代の若い人達に読んで欲しい。



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