城山三郎 命の旅
城山 三郎 講談社
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価格:¥ 1,575
発売日:2007-08-01 /通常24時間以内に発送
カスタマーレビュー
おすすめ度:
一時代を築いた作家の死に、厳粛な思いを禁じ得ない 
(2007-09-12)
作家城山三郎の追悼集です。
表紙からつづくカラー写真ページは、そのまま目次を経て「旅路にて」と題した第1章に続いています。
写っているのは、2004年に訪れたパラオ・コロール島とウィーン。
痩せて枯れ木のようになった晩年の城山氏が、一人で大自然に向かい、歴史を刻んだ石畳を歩んでいます。
続く「城山三郎が愛した街」のページには、仕事場のマンションの写真が載っていました。誰も座っていない椅子と散らかったままの机が帰らぬ主人を待っていて、城山三郎がこの世からいなくなってしまった淋しさを際だたせます。
第2章冒頭で佐高信氏と内橋克人氏が城山文学について対談したあと、『小説日本銀行』『落日燃ゆ』『男子の本懐』等の主要11作品のあらすじを掲載しています。
続く第3章の「座談の名手」では、いままで知らなかった名インタビュアーとしての城山氏が登場しました。
あの厳格そうな城山氏がタモリや阿木燿子と対談している。しかも、テレビで聞いたことのない私生活や仕事観をうまく引き出しているのは新鮮でした。
こんなに城山氏が柔軟な人だったとは驚きです。知らなかった私が不勉強でした。
城山氏は2000年に、46年間も寄り添って生きてきた最愛の妻を亡くします。
第4章に収録された『「妻の死」を抱きしめて』を読むと、城山氏の喪失感の大きさが察せられます。
経済小説という新分野を確立し、戦争を憎み、反権威・反体制を貫いた作家でした。
晩年の城山氏は、石原慎太郎に「小言幸兵衛」と言われるくらいの文句言いになりました。男はガンコジジイになり果ててやっと冥土のお迎えが来るのかもしれません。
妻の死から7年後の2007年3月、城山氏は入院先の病院で亡くなりました。
ファンの一人として、一時代を築いた作家の死には厳粛な思いを禁じ得ませんでした。
ご冥福をお祈りします。