カスタマーレビュー
おすすめ度:
芥川賞作家辺見庸氏に通じる思想 
(2008-04-21)
ガンダム小説(エンターテイメント)として楽しめる一方、その裏に福井氏の思想が織り込まれている点で深みのある一流の(思想)小説だと思います。
第2巻の「内なる可能性を持って、人の人たる力とやさしさを世界に示す」というビスト財団当主の理念に続き、主人公バナージが戦争に巻き込まれ、そこに携わる大人達の言動から「どこにも悪意はない。この律儀な人達が織り成すしがらみこそが、世界の重みか」と実感する場面から、福井氏の思想は辺見庸氏のそれに感化されている。少なくとも辺見氏の著作を読み込んでいると感じました。
福井氏はその著「亡国のイージス」で、私が知る限り三島由紀夫以来、初めて文芸の世界で、「日本という国は亡国である=戦後、国としての主体性を失ってしまった。そして、我々日本(人)は今のような国防に対して無責任で主体性のない思想のまま自衛隊という形式を続けるべきなのか」という戦後のとても重要な問題を我々に投げかけましたが、
本書では、辺見氏の言うところの「無恥なる罪=行き過ぎた資本主義社会に取り込まれた我々が無自覚に生み出している多大なる罪」という問題について、ガンダムという世界観を利用して、我々に伝えよう・考えさせようと意図しているのを強く感じました。
このレビューを見る人で辺見氏を知る人は余りいないと思いますが、最終話までガンダムUCを読んだ後、辺見氏の近著を読むと福井氏の思想がより浮き彫りに感じられると思います。
亡国の姫君 
(2008-04-01)
前作からわずか半日後を描くシリーズ第3巻。今だ明かされない『ラブラスの箱』の謎。そして『箱』を巡る攻防についに姿を表した赤い影。ファーストシリーズを彷佛とさせる展開と、シリーズ全体でもその存在が忘れ去られていた『亡国の姫君』の登場等一見ファンならずとも納得させる作品に仕上がっている。今後の展開に期待したい。
残念。 
(2008-03-13)
「シャアの再来」と言われる、フル・フロンタルの描写、セリフがあからさまにシャアのまんま過ぎて、一気に冷めてしまいました。
ここまでシャアのまんまで、マスク外したらシャアだった…なんてオチだったら呆れます。
原作者である富野監督自ら、映画『逆襲のシャア』で「シャアは死んだと思ってもらって構わない」と言ってますから、あからさまにシャアのような言動のフル・フロンタルは受け入れ難いです。
ビスト家やラプラスの箱の謎、ユニコーンのNT-Dシステムなど面白い部分が多いだけに、フル・フロンタルは非常に残念です。
また、全体に映像を文字におこしただけのような文章が多く、小説としては物足りないです。
盛り上がってきました! 
(2008-02-19)
シャアの再来、フル・フロンタルの登場でいやがおうにも盛り上がる展開になってきました!
たしかに「3倍のスピードで・・・」「当たらなければどうということはない」
などのシャアの名シーン、名セリフを連発するあたり、
少々(というよりかなり)わざとらしい。
しかし読んでいると盛り上がってしまう自分に気付きました(笑)。
これが少年時代にシャアの登場に盛り上がった世代の性なんですかね・・・
フル・フロンタルの今後のエピソードが我々ガンダム世代への受け狙いになってしまうのか、
それとも新たな仕掛けが出てくるのか、この辺りに興味が尽きません。
少々あざとい 
(2008-01-18)
久々の正統派ガンダム。外伝ではなく、本道に据えられるであろうガンダムで期待値は大きい。
福井晴敏氏の作風、妙に「漢」が多いのが個人的には少々うっとうしいが、
他の外伝的小説に比べれば、真っ当なガンダム世界が構築されている。安彦良和の挿絵も非常に嬉しい。
ただ、本作で登場する「シャアの再来」たるフル・フロンタルの言動はやりすぎだと思う。
赤いMSとか、ノーマルスーツ着ないとか、交渉の会話とかで充分シャアらしさは出せているのに
「3倍の速度で〜」「見せてもらおうか。〜」「当たらなければ、どうということはない!」等
言わなくて良いことまで言わせている。
作者の自己満足かサービスか。他の方にはウケが良いようだが、個人的には「あざとい」と感じる。
「シャアへのリスペクト」だなんて思えない。
次巻以降の修正に期待。