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青い蜃気楼―小説エンロン (角川文庫)
黒木 亮
角川書店

グループ:Book /ランキング:18676
価格:¥ 660
発売日:2004-08 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
史上最大の詐欺事件から得るべき教訓  (2007-12-23)
 エンロンは、1985年7月、天然ガス輸送パイプライン会社インターノースと天然ガス輸送パイプライン会社ヒューストン・ナチュラルガスの合併によって誕生した。設立当初のエンロンはテキサス州周辺の中小ガス生産業者から天然ガスを買い上げ、それをパイプラインで輸送するという、堅実ではあるが利鞘は薄い商売をやっていた。創業当時の株価は僅か6ドル前後だった。
 しかしレーガノミクスによる規制緩和に伴い、エンロンは野心的な事業拡大策に乗り出していく。1989年にジェフリー・スキリングが「ガス銀行」のアイディアを創案し、天然ガスのトレーディングを北米と欧州で開始したのを境に株価は上昇に転じ、1992年には10ドルを突破。アメリカのITバブルの波に乗る形で発展を続け、1999年には37ドルに達した。同年11月にはエンロンオンラインが稼働、12月には『フォーチュン』誌で「働くのに最高の百社」の第24位(エネルギー業界では1位)に選ばれた。2000年1月21日には71ドル63セントまで上昇、同年2月には『フォーチュン』誌において5年連続で「米国で最も革新的な会社」に選ばれた。アナリストはエンロン株は最高の買い銘柄で、株価は97ドルまで行くと予想した。
 エンロンは 2000年度の売り上げベースでは全米第7位に躍進し、アメリカを代表する大企業にまで成長した。だが、この年の12月2日、エンロンは連邦倒産法第11章適用を申請し、事実上倒産した。
 アメリカの1地方ガス会社にすぎなかったエンロンは、如何にして世界にエネルギー革命をもたらしたのか。そして何故、突如破綻したのか? エンロンの栄光と転落の軌跡を克明に描き出した迫真のノンフィクション。今またサブプライム問題という「偽装」に揺れる世界経済にとって、「エンロン問題」は決して過去の出来事ではない。


そんなに昔のことではない。米国版ライブドア事件!(順序は逆だが)  (2007-05-15)
 2001年11月29日に、エンロンは実質破綻した。
 電気やガス事業といった伝統的な領域で、卸取引(トレーディング)といった新しいビジネススタイルを取るエネルギー企業のエンロンは規制緩和の波に乗って華々しく登場した革新型の企業という印象で、こういう企業には日本企業はかなわないだろうなという気がしていたが、実はその内実は、SPE(Supecial Purpose Entity)等のオフバランス化といった会計上の処理を駆使した金融工学企業で、会計技術を駆使して債務を隠し利益を大きく見せて成長企業を擬制したという内実が明かされる。
 ストーリーはダイナミックでビジネス小説としては秀逸の部類にはいると考えてよい。投資事業組合を駆使したライブドア事件などと一脈通じるものもあり興味深い。 

職業倫理とプライド  (2007-05-06)
アーサーアンダーセンのエンロン担当の会計士、社内弁護士、そしてエンロン社の幹部そのもの。そしてエンロンに融資している金融機関の担当者。
それぞれが目の前のことだけを考え、問題の先送りでしかない対応をとってしまった選択の行く末を小説という形をとることによって、読みやすく分かりやすく、興味深く示してくれています。

この出来事がほんのつい5,6年前のことととは全く不思議な気がします。

今もまだどこかに、「エンロン的」な会社が世界、日本にあるに違いないという気にさせられます。

情報を生でつかみ、分析することの大事さも実感できます。

崩壊の痕跡を描く  (2006-11-27)
関係者の人柄や野心、利害関係者の動きなどを描きながら巨大企業エンロンの崩壊の軌跡を辿り、隅々まで及んだ影響の痕跡がアメリカの一企業の破綻では済まされなかったことを示している。日本の片田舎の企業が運用する年金の元本割れが描かれ、日本人にもただならない影響があったことを実感した。
極めて主観的な利益計上やブラックで複雑なストラクチャーの濫用で不正を重ね、年々業績を拡大するもののその不透明さはますます幹部の傲慢さを浮き彫りにしていく。巨大企業の崩壊が一部幹部の暴走だけで起こされたわけでなく、目の前の報酬におもねるように染まっていく監査法人、金融幹事会社など、チェックシステムが機能しなかった構造を紐解き、不正の土壌を掘り下げて記している。
2006年日本で公開されたエンロン崩壊のドキュメンタリー映画で、中心人物と関係者の生の声を聴き、起こるべくして起こったと苦々しい思いで鑑賞した。小説には描かれなかったエンロン社員のモラル低下の実態なども描かれているので小説と併せて見るとなお実情に迫ることができると思う。

自由化の功罪  (2006-04-09)
規制緩和により真のメリットを享受するのは誰だろうか?
本来であればエンドユーザー(最終消費者)であるはずだが、同書においては電力自由化を進めるエンロン社が欺瞞と粉飾により同社トップマネジメントのみが利益を貪る姿を描いている。
チェック&バランスを司るはずの会計事務所は顧客でもあるエンロン社の依頼要請を断ることが出来ず欺瞞と粉飾を許していく。
改めて、ビジネス倫理について考えさせられる作品である。



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