ピックアップ
 カテゴリメニュー
 特集

テレビ特集
 SPECIAL LINK
 PR

 商品検索
 商品詳細
奇子 (上) (角川文庫)
手塚 治虫
角川書店

グループ:Book /ランキング:35340
価格:¥ 609
発売日:1996-06 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
黒手塚の最高傑作  (2008-11-27)
アトムやリボンの騎士等のアニメ化された所謂「白」手塚作品と両極に位置する作品。

GHQ占領下の日本が舞台となり、下山事件、農地解放等の事件を題材として、その時生きた人の、政治思想、性モラル、道徳価値の変換を物語る。

傑作「アドルフに告ぐ」と同じく、続く戦後という時代の匂いを感じることができます。

観察可能な事実を元に推理小説を書いたのが松本清張、ノンフィクションを書いたのか吉村昭、漫画を描いたのが手塚治虫でしょうか。

作家にとっては結局「事実」が一番面白いネタ元なのかなあと思います。

おすすめです。



















漫画で表現した小説  (2008-10-04)
この作品は上下巻通して読まないと意味がありません。ですからレビューも全編通した内容です。
下山事件やゼネストといった今では歴史になりつつある事件を背景にして旧家の戦後を描き出しているがどれをとっても理解できる人の年齢が高いように思う。もともと昭和47年に発表された作品なのでその時代を知っていれば事件についてはともかく旧家の雰囲気となるとわかる人は少ないでしょう。
手塚氏自身が大阪の旧家の出身ですからその閉鎖的な小社会を見聞きして育っているので読み手にもそれなりの予備知識を要求しています。その意味ではやや作品の紙幅が少なく背景の説明が少ないのがつらいところです。
しかし個々のキャラクターの書き込みはすばらしく背景を気にせずストーリーに引き込んでくれます。この作品は人の業を描くこととそこからの自由、そして業を業として背負う人の強さがテーマです。
ラストのおばあさんのせりふが全てを救います。

天才の病理。子供の心と科学者の世界認識。  (2008-06-15)
手塚さんの成人向け作品のなかで「きりひと賛歌」「ばるぼら」の次に好きな作品です。
手塚さんは、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」の戦後日本版を作ろうとしたのではないでしょうか。性的なもの(女性・童女・性愛・聖性)も主題の一つになっているようです。
彼は「童夢」の画、あの日本人特有の肢体や顔立ちの生々しい描写に衝撃を受けたそうですが、この作品に登場する韓国人や与党政治家の描写を見ると、大友克洋に優るとも劣らぬリアルな描写力の持ち主だったと認識させられます。
最後の地下に取り残される場面は素晴らしく秀逸です。
日本人のどうしようもない日本人性、日本人の血族というもの、そのシガラミを、象徴的なシチュエイションのなかに実に見事に描き出しているとおもいます。
それから、最初の方に出てくる知恵遅れの無垢な少女の惨酷な殺人の場面は、殆ど一生忘れられぬものです。こんな可哀相な顔(殺される時の)を、よく思いつき描けたもんだと感心してしまいます。無垢なる者の凄惨な運命。この究極の不条理に対して普通人の持つ憎悪とも諦念とも異なる激しい感情ー敢えて表現すれば、登場人物と一緒になって意味も無くただワアワア泣き喚いていたいとような子供の心情を、大人になってからも強く持っていた人だったんだな、と思います。(奇子は彼の戯画でもあるとも思えてきます。)これは、天才の病理であり原質といってもいいものでしょう。この子供のようなイノセントな気持ちと大人(というより科学者)の冷酷な世界認識との共存が、彼をして天才揃いの戦後日本マンガ界のなかでも、最大の巨匠にしたんだと思います。

昭和の時代  (2006-12-03)
まるで、上質のノンフィクションのような漫画です。漫画の域を超えた質の高い作品だと思います。敗戦後の昭和の時代の闇を描いているようです。私は、下山事件については詳しくありませんが、その謎に迫るような作品になっているようです。この作品を読んで下山事件に興味を持ちました。面白いので、上下巻とも一気に読みました。昭和の時代に、本当にこんなことあったかもしれないと思わされる、地方の資産家の閉鎖的な陰湿さについては、不快な気持ちを持ちつつも、人間の本質を見る思いです。難しいテーマを読者の気持ちを鷲づかみにしながら、描いていくところは、さすが、手塚治虫と思います。また、テーマの選び方が、知性と感性を感じます。

土曜漫画  (2006-09-14)
これは凄まじい。

たとえば、アメリカン・ニューシネマの傑作、『イージー・ライダー』を観終えたあとや、稲垣足穂の『弥勒』を読み終えたあとや、つげ義春の『無能の人』を読み終えたあとなどは、あまりのショックでとても学校や会社など行く気がしなくなってしまう。
これらは、全て土曜日に味わうべきものだろう。

この間はじめて読んだ手塚治虫の『奇子(あやこ)』も、やはりそのひとつで、僕はしばらく立ち直れなかった。
なんでこの手塚治虫という人は、人間というものの弱さや下らなさや醜さをここまで徹底的に救い無く、胸糞悪く描くことができるのだろうか。
こういうものを読むとつくづく、ジョン・レノンにも同様のことが言えるが、手塚治虫が愛や勇気や希望の使者的な扱いを受けているのが不思議でしょうがない。

とにかく、このあまりにも強烈な手塚治虫のダークサイドの美しき結晶に触れてみて欲しい。
この絶望をどう取るかは、あなたの自由である。




Copyright 通販のKAIST. All rights reserved.
/ Powered By AmazonWebService4.0