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ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

岩波書店

グループ:Book /ランキング:1771
価格:¥ 735
発売日:2008-01 /在庫あり。

カスタマーレビュー
おすすめ度:
民営化の行く果てを知る  (2010-07-29)
 民営化と競争原理が全てを解決するとばかりにセーフティネットをズタズタにした、共和党、ブッシュ政権。
 米国は、経営幹部が事業の成否にかかわらず巨額の報酬を手にする一方、貧困層を最貧困層へ、中流の人々も貧困層へと転落していく構造へと二極化。
 国民を二局化に追い込み、収益を極大化する大資本にかかわる一部の富裕者だけを潤す構造は、意図されたもの。
 恐るべきその戦略、戦術の徹底ぶりが事例を挙げて分かりやすく記述されている。
 弱者を食いものにし一部の富者が潤ってゆくという構造に抵抗しようとする人々の「新しい戦略」も僅かな救いとして巻末に付記。

 アメリカンルールをグローバルルールと意図的に勘違いして「改革」を唱えた自民党。
 日本をアメリカ亜流の社会にしようとした試みは民主党政権に阻まれた。
 医療についても社会保障負担の増大を防ぐという名目の元、長期入院を排除し、病床数を減らす暴挙に出た。
 結果は救急患者の診療拒否。
 医者、医療の責任ではなく、明確に厚生労働省の失策ととらえるべきこと。

 アメリカの社会構造が、日本の将来とならないよう、私たちは政府、産業界の行動、提言に注意を怠ってはならない。
 アメリカ国民のように自らの足元を掘り崩すような為政者を選択してはならない。
 米国の進路を追いかけることが正しいとする日本、目先の改革派に惑わされないための警世の書。

 目 次
 第1章 貧困が生み出す肥満国民
 第2章 民営化による国内難民と自由化による経済難民
 第3章 一度の病気で貧困層に転落する人々
 第4章 出口をふさがれる若者たち
 第5章 世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」

なんてたってすげえ国だ  (2010-07-26)
アメリカ社会の貧困事情を紹介する本のように見えるが、根本テーマは「資本主義社会において民営化すべきでない領域」。
単純に「堪忍してこんな国絶対住みたくないわ・・・」と感じるケースが次から次へと紹介されていて、結構気が滅入る。高すぎる医療費、最悪な食生活、生活の糧の手段として軍に入隊し、最前線に放り込まれる若者たちなどなど・・・

それぞれのテーマにおいて著者が原因と断じているものは「行き過ぎた民営化」。

自由競争主義の名の下、行き過ぎた民営化により本来普遍的に国民生活に対して提供しなければならないサービスがあるべき姿を失っていると論じる著者の説明はなかなかに説得力がある。正直自分は「大きな政府」に対して官僚の天下り先や利権の確保のイメージが拭いがたくあるため、「なんでも民営化」が全てだと思っていたけれど、ことはそんなに単純なことではないんだなと、再考させられた。

いずれにせよ、現在アメリカで起こっている社会の歪が現実のものであるのならば、日本は必ず二の轍を踏まないような努力をするべきである。

そんな悲惨な国なのに、何故これほどまでに移民が多く、あらゆる地域から人が流入し、良くも悪くも世界ナンバー1の影響力をもっているんだろうかな。実際に住んで体験しないとそのへんのことはわからないのかもしれない。とにもかくにも、興味深い国ではあると思う。

経済的徴兵制  (2010-07-20)
2009年新書大賞である。豊かで自由な国・アメリカ社会に潜む格差問題の深刻さや、行き過ぎた新自由主義・公的サービスの民営化の問題性を多くの人々に伝えた。
 特に、圧巻だったのは、貧困な若者たちを狙った「経済的な徴兵制」と呼ばれるシステムだ。
現在、徴兵制度がないアメリカが、アフガニスタンやイラクでの戦争を繰り返すことができるのには秘密がある。貧困な若者たちに対して、大学の費用免除や医療保険制度への加入という餌を用いて軍隊へのリクルートを行うことで、戦争に必要な人員を確保できるシステムができあがっているのだ。
 こうした制度に反対運動も起きるが、結局は貧困を根絶するしか、もうアメリカが立ち直る方法はない。
 日本も一緒である。


ジャーナリストが伝える行き過ぎた利益至上主義の恐怖(その1)  (2010-07-19)
 現代では、アメリカ型の利益至上主義が世界中を席巻している。では、この利益至上主義は本当に社会を良くするのだろうか?

 この本は、ジャーナリストの堤未果さんが、最も利益至上主義の進んだアメリカの姿を描写したものであるが、実際にこれを読んでみると、行き過ぎた利益至上主義が恐るべき問題を引き起こしていることをまざまざと見せ付けられてしまう。
 例えば、この本の第2章では、ハリケーン「カトリーナ」の被害が描写されていたが、あれは一般人の私から見ても、単なる台風の被害では済まないと思った。そこで堤さんは、自分の足で関係者から取材をしたわけであるが、この本に書かれている証言を読むと、日本ではまず考えられないような問題が奥に潜んでいることにすぐ気付いてしまう。

 もちろん、内容はこの他にも沢山あるが、いずれにしろアメリカの場合は、本来であれば競争原理を入れてはならない分野までそれを導入したせいで、とんでもない事になっていると言える。だから、この本は利益至上主義の行き過ぎがもたらす重大な問題を伝える目的で、多くの人に読んで欲しいと思う。


この本から日本の未来が窺える  (2010-07-12)
 アメリカがこうなってしまったのは、政治家と企業が結託した結果だが、その裏には国民が政治に無関心だった(もちろんマスコミがちゃんと報道しなかったのも原因だが)のも原因の一つであることが、この本より窺えた。

 財政破綻が心配される日本が再生するには、行政サービスの民営化は避けられないと思うが、多くの人がこの本を読んで、日本は今後どのような社会を築かなければならないか、真剣に考える必要があると思った。

 今、日本は微妙な時期を迎えていると思うが、昨日の参院選の投票率を見るとそのことが分っていない人が多いと思う。このままでは日本はアメリカの二の前になりそうで怖い。



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