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東海村臨界事故への道 払われなかった安全コスト
七沢 潔
岩波書店

グループ:Book /ランキング:69502
価格:¥ 2,730
発売日:2005-08-26 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
安全管理の難しさ・大切さを説く  (2005-12-24)
JCO臨界事故の原因について、その設立経緯や日本の原子力行政、動燃との関係など、
直接の原因となった作業だけではなく、多角的に分析を加えた書です。
私自身も安全とは無関係ではない職業に就いているため、常に身を振り返りつつ読むこととなり、
思ったほどページが進まないこととなってしまいました。
原発に興味のない方でも、組織・現場で働く人にとっては他人事ではいられない内容が
盛りだくさんです。
最後で、著者自身が所属するNHKの不祥事について述べられる部分も非常に印象的でした。

決して風化させてはいけない過去を学ぶ  (2005-12-21)
 当時、集中豪雨のように報道された東海村臨海事故のニュースの内容を詳しく覚えている人は少ないと思います。しかし、「バケツを使って作業していた」ということは多くの人の印象に残っていることでしょう。
 本書を読んで知ったのは、臨界事故はバケツを使った作業で発生したわけではない、ということです。しかし、直接の原因ではありませんでしたが、「バケツ」を使った作業は、JCOの安全管理が崩壊してゆく象徴的なものでした。
 これは、扱いを間違えれば大変な事故が起こる原料を扱っているにもかかわらず、無許可の作業を実験室の延長のように行なっていたことを示します。事故を起した作業員も「こんな適当なやり方で粉末を製造すればいいのか」と感じたことを裁判で供述しています。

 本書では、JCOで行なわれていた核燃料の製造作業を解析し、元々製造設備構築時に安全設計を欠いていたこと、それをカバーするため科学技術庁から許可されたのがあまりにも効率の悪い非現実的な作業方法であったことを明かしています。
 加えて発注元であるサイクル機構(旧動燃)が納期を急ぐよう働きかけたことにより、製造方法の逸脱が始まり、慣れっこになっていきました。
 それでもベテラン作業員がいるうちは、本当にやってはいけないこと(臨海の危険があること)の区別がついていましたが、JCOの経費節減のあおりを受けて現場からベテランがいなくなりました。
 そして、運命の9月30日がやってきました。

 「過去に学んでいただきたい」と著者は言っていますが、6年後の今日も東海村の教訓は生かされていません。
 安全にかかるコストを削ってはならない、という教訓が守られていれば、雪印乳業のミルク中毒事件も、三菱ふそうの構造的欠陥隠微事件も、最近では今年4月のJR福知山線の列車事故も回避できたはずです。

 決して風化させてはいけない過去を学ぶ一書でした。



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