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The Unwanted: A Memoir of Childhood
Kien Nguyen
Back Bay Books

グループ:Book /ランキング:347136
価格:¥ 1,765
発売日:2002-04-08 /通常10~12日以内に発送

レビュー(Amazon.co.jp)
   ベトナム解放闘争の「輝かしい」歴史については、ベトナム戦争の報道や出版物で、一応知っているつもりだった。逆に、共産党政権の弾圧についても「ボートピープル」問題から、いくらかの知識は得ている。しかし、本書を読んで、そんな知識がいかに薄っぺらだったか、思い知らされた。7歳11か月で「サイゴン陥落」の地獄を見た「あいのこ」が、以来10年間に受けた理不尽な虐待と凄惨な暴力は「弾圧」などという生易しいものではなかったのである。

   著者のキエン・グエンは、アメリカ人エンジニアと美しいベトナム人通訳の間に生まれた「あいのこ」である。 父は間もなく帰国したが、母はすぐアメリカ兵を新しい恋人に持ち、弟が生まれる。母は2人のアメリカ人が残していった金を元手に銀行の共同経営者となり、美しい海浜の町ニャチャンに大邸宅を構えた。物語はこの邸で催されたキエン5歳の豪華なバースデーパーティーから始まる。「あれは子ども時代のもっとも幸福な、最初の記憶」だったが、1975年5月のサイゴン陥落を境にすべてが反転した。母は全財産と邸宅を没収され、老いた両親と2人の子どもを抱えて路頭に迷う。そんな一家の前にグエン邸の元庭師が立ちはだかる。彼はいまや町の新指導者で、グエン邸の新しい主人だった。革命とはそういうものかもしれないが、それにしても一家を襲う苦難は残酷すぎる。

   14歳になったキエンは、母が工面した金で、母の友人のミセス・ザーンと海路から国外脱出をはかるが、ザーンは溺死し、彼は収容所にほうり込まれる。その収容所の残忍さもさることながら、「地獄の沙汰もカネ次第」がまかり通り、母の女の魅力が息子の出所に役立つ「共産主義体制の正義」に暗澹(あんたん)とさせられる。

   こんな悲惨な話なのに、キエンの文章(訳がいい)は決して政治的ではない。「あいのこ」の「私」と党幹部の美しい娘の恋、南ベトナム軍人だった祖父の古武士的振舞い、かれんな召使ロアンの悲しい運命を淡々と描いて、トルストイばりのロマンに仕立て上げている。暴虐に切り刻まれながら、神経を痛めることなく、現実を見つめ続けた少年の意志力が、なにより驚きである。(伊藤延司)




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